ホーム導入事例グラフテック株式会社

AToMsQubeをベースにしたオンプレミス型システム導入を徹底した進捗管理により短納期で実現。機能性の高さを現場エンジニアが高く評価

導入企業の概要

計測機器・情報機器市場でのリーディングカンパニー

カッティングプロッタ「CE6000シリーズ」カッティングプロッタ「CE6000シリーズ」

グラフテック株式会社(以下、グラフテック)は計測機器事業と情報関連機器事業(スキャナやカッティングプロッタなど)の二本柱を中心に事業を展開する、東証一部上場会社(持ち株会社)のグループ企業です。自社に工場を持たず、海外EMS企業への委託により製造する開発主導型メーカーであり、カッティングプロッタでは10年以上世界シェアNO.1を保持。
計測器では低価格化を実現し、R&Dに関わるエンジニアが計測器を一人一台持てる環境の実現に大きく貢献してきました。さらに、近年はソリューションの提案力を武器に、顧客視点で問題解決を図るビジネスも手掛け、多数の実績を上げています。

カッティングプロッタ「FC8600シリーズ」カッティングプロッタ「FC8600シリーズ」

「常に他社の一歩先を行く商品企画やマーケット力、あるいは生産コスト力が実績につながっています。他社が真似できない良い製品をいち早く作り、コストメリットを活かしつつ、ワールドワイドで展開して利益を創出できていることが強みです」と、常務取締役企画・生産本部長の高畠浩之氏は話します。
中国のEMS企業への委託が成功していることも、グラフテックが順調に事業を進めることができている理由です。「生産管理部による協力工場の選定が上手くいっていること、現地に当社から人を送り込み、徹底的に指導していることなどが、困難と言われる現地化を可能にしています。EMS企業や商社などと部品の受発注金額をガラス張りにし、共にコストダウンに向けて努力していることもポイントです」(高畠氏)。

システム導入の背景と課題

大型汎用機のコスト高、保守要員不足、保守切れに直面

グラフテック本社横浜市にあるグラフテック本社。

グラフテックでは、こうして業界をリードし成長を遂げる中、大型汎用機を用いた独自の生産管理システムを30年以上にわたり使い続けてきました。しかし、社内で運用を担当していた企画・生産本部ではいくつか問題があったと、同部EDP課係長の杉田晃洋氏は話します。
「まず、リース費用と保守費用で年間1000万円かかるコストが社内では問題視されていました。また、長年大型汎用機を操作してきたベテラン社員が他部門へ異動。日々の運用は何とか続けられるものの、現場からの細かい改善要望に対応することが困難になってしまいました。さらに2012年には追い打ちをかけるように、システムを構築したベンダーから、『2013年6月以降保守切れになるため、システムを入れ替える必要がある』という通達を受けました。これらの背景があり、新システムの導入を検討することにしたのです」(杉田氏)

課題は「期限」と「予算」の2つ。期限では2013年6月1日に稼働していることが絶対条件です。着手が遅れたこともあり、必然的に短期間で導入できるシステムが必要でした。予算では従来のリース・保守費用の同等以下で実現することが条件です。当初、スクラッチ開発による現状システムの完全移行を目指しましたが、それでは費用が大幅にオーバーしてしまいます。「そこで、完全移行はあきらめ、市販パッケージを導入することに方針転換。従来の機能のうち、不要なものを削り、独自の業務フローをできる限り一般的な業務フローに見直すことで、実現できると判断しました。市販パッケージなら予算内で収まるだけでなく、短納期も可能になります。そうしたことを考えていた頃にタイミング良くクオリカからAToMsQube(アトムスキューブ)の提案を受けたのです」(杉田氏)

AToMsQubeの評価点

SEの高いスキルとセンスの良い画面構成

では、他のベンダーからも提案を受ける中、AToMsQubeを導入した決め手は何だったのでしょうか。短納期、低コストもさることながら、それ以外にも要因はあったはずです。
「一つは、SEの質の高さです。担当のクオリカSEは大型汎用機のシステムに詳しく、当社の抱える問題点やAToMsQubeによって改善できることを的確に説明。さらに、その場でフィット&ギャップ分析をして、簡単な要件定義を済ませるなど、非常に効率的でスピード感のある対応でした。もう一つが先進的な画面構成。シンプルなデザインはセンスが良く、見るからに使いやすそうな印象を受けました。各種項目の位置は入れ替えができるので、ユーザーごとに自由にカスタマイズも可能です。また、Web対応システムでありながら、応答速度も非常に速い。業務効率の向上が容易にイメージでき、この点も選定上の大きな優位点でした」(杉田氏)
AToMsQubeの導入を決めたグラフテックでは、クラウド型ではなく、オンプレミス型システムの導入を選択。同社は原価の項目を細かく分けるなど「受発注の見える化」を徹底しているため、独自のカスタマイズが必要だったからです。個々のニーズに合わせたオリジナルな生産管理システムの構築が短納期で可能なこともAToMsQubeを選択した理由でした。

導入時の問題点とその克服

現場に丁寧に説明するとともに、スケジュール管理を徹底

導入時、最も苦心した点の一つは社内ユーザーの説得。社員は慣れ親しんだシステムを入れ替えることに抵抗があるからです。「最初は現場への情報の橋渡し役として5人のキーマンにAToMsQubeの説明とデモをして、現場に情報が行き渡ってから、あらためてエンジニア全員を集めて説明、デモを実施、この二段階のステップで、クオリカの協力も得ながら、慎重かつ丁寧に理解を促しました。その際、最も力を入れたのが新しいシステムへの期待の醸成です。例えば従来の大型汎用機では不可能だったExcelへのデータの吐き出しも、AToMsQubeなら容易に実現し、簡単に二次利用できることなどを訴求。できなかったことができるようになる。このメリットを重点的に伝え続けることで、現場での評価も着実に向上しました」(杉田氏)
一方、クオリカが導入スケジュールの管理を徹底したこともポイントだったと杉田氏は言います。「絶対に超過が許されない『期限』がある中、クオリカは機能追加などで遅れが発生した場合も作業ピッチを上げてすぐに取り戻しました。私も他のプロジェクトで最初に決めた期限がなし崩しになり、結局納期に間に合わなくなることは何度も見てきています。しっかりした進捗管理で“それをさせない”ところがクオリカの凄いところだと思います」(杉田氏)

導入後の効果

現場からの高評価が相次ぎ、報われた瞬間

システム導入の責任者である杉田氏

本格的な要件定義から約半年という短期間でシステムは完成し、2013年5月、期限を過ぎることなく、無事カットオーバーの日を迎えました。ただし、杉田氏は数日間緊張感が解けなかったそうです。「本番稼働からしばらくは現場からクレームがあったり、問題が発生したりするなどして、その対応に右往左往するだろうと、覚悟していましたから。
でも、そうしたことは全くなく、現場からは簡単な質問や問い合わせがあるのみ。逆に、『使いやすくなった』、『データの二次利用が簡単にできて非常に良い』と、高い評価ばかりでした。システム導入の責任者にとってこれほど嬉しいことはない。今までの苦労が報われた瞬間でした」(杉田氏)

また、あらためて今回の導入プロジェクトを振り返り、杉田氏は成功したポイントをこう指摘します。「やはり、事前準備とスケジュール管理でしょう。そのためのアプローチ、ノウハウ、スタッフのスキルを持ち合わせたベンダーを選ぶことが成功のカギを握っています。今回のプロジェクトはその点が上手くいったと思います」(杉田氏)
今後はAToMsQubeを現場がより使いこなすことで、さらなる業務の効率化を目指すグラフテック。グローバル展開や新たな成長の柱の構築に挑戦する同社にとって、AToMsQubeはそのポテンシャルを引き上げるツールとして貢献していくことでしょう。

お客様のプロフィール

会社名
グラフテック株式会社
http://www.graphtec.co.jp/
所在地
神奈川県横浜市戸塚区品濃町503-10
設立
1949年3月
資本金
30億円
事業内容
計測機器事業(光センサ&計測器・インライン試験装置)、情報関連機器事業(スキャナ・プロッタ・カッティング)

サービス・ソリューション