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ATOMS QUBEで材料発注と加工指示を自動化
生産の波が予測でき“先読み”の管理も可能に

製造業

製造業 株式会社曽田製作所様

掲載日:2023年10月03日

導入ポイント

  • 課題
    ●紙の台帳による属人化された生産管理に限界を感じていた
    ●生産の波を予測できず、現場の進捗も分からず、対応が後手に
  • 選定
    ●製造業を熟知するクオリカが構築するシステムに対する信頼性
    ●製番管理方式からMRP(資材所要量計画)方式への転換ができる
  • 効果
    ●材料の発注と部品の加工指示を自動化
    ●本部も現場も製造の予定を可視化でき、事前に手を打つことが可能に

課題

取引先ごとに担当者が紙の台帳で生産管理
繁忙を予測して事前に手を打つことができない

 曽田製作所は、ブルドーザーのトランスミッション(変速機)やショベルの油圧シリンダーなど主に建設機械向けの部品を生産する企業です。建機最大手のコマツ向けの案件が大半を占め、各種部品を高度な技術で高水準の品質で製造し、高い評価を得ています。
しかし、同社は長年製造業を続ける中で、大きな課題に直面していました。それが、生産管理が旧態依然としていたことです。「当社では3つの工場で1000種類以上の部品を製造しています。生産管理システムは導入していましたが、使っていたのはほぼ受発注と現場に加工指示書を出す機能だけでした。生産管理は取引先ごとに担当者が紙の台帳で行っていたのが実態でした。台帳は個人の管理で、手書きで記述していたため、担当者が休むと読み解くのが困難でした」と、同社の曽田忠寛社長は話します。
製造では現場に加工指示書が送付されると後は担当者に任せていたため、進捗状況がタイムリーに共有されず、取引先から問い合わせがあると、その都度現場に確認しにいく手間も発生していました。
そして、最も深刻な問題だったのが、現場の仕事量を正確に予測して繁忙が予想された場合に事前に手を打つというアクションができなかったことです。「材料の発注や加工指示の調整は担当者の力量に頼るところが大きく、判断を誤り、必要な材料が不足したり、現場のキャパシティーがオーバーして混乱や遅延を起こしたりすることも少なからずありました。もちろん、忙しくなりそうだというのは過去の経験から分かるのですが、それがどれくらいの仕事量になるのかが判然としないため、具体的な手を打つことができませんでした。つまり、すべてが後手に回っている状況だったのです」(曽田氏)。


株式会社曽田製作所 代表取締役 曽田忠寛 氏
株式会社曽田製作所 総務部安全課安全チーム
チームリーダー 室谷貴志 氏

選定

製造業を知り抜いたクオリカのシステムを採用
製番管理方式からMRP方式への進化も同時に狙う

 人の手に頼る属人化された紙による生産管理体制を刷新しようと、同社が着手したのが、新しい生産管理システムの導入です。タイミング的にサーバーの保守切れの時期と重なり、サーバーもシステムも一気にリプレイスする方針を固めました。そうした中、取引先との業務連絡会で紹介を受けたのが、クオリカが提供するクラウド生産管理システム「ATOMS QUBE(アトムズキューブ)」でした。「クオリカは我々の取引先であるコマツのIT部門が独立して設立されたベンダーで、製造業の現場を知り抜いているため、信頼できると考えました。また当時、当社の生産管理は昔ながらの『製番管理方式』でしたが、繰り返し注文があり、ある程度生産量が多い部品に関してはその方式では限界があり、注文が多い場合も対応できる『MRP(資材所要量計画)方式』に切り替える必要性を感じていました。ATOMS QUBEであればMRP方式に対応できるということで、その点も採用を後押しするポイントとなりました」(曽田氏)。
 製番管理方式とは個別の注文ごとに製造番号を付与し、生産管理する少量多品種の生産に向いた手法。一方、MRP方式は、材料の発注から部品の加工まで総量管理を行い、必要な部品を必要な時に必要な量だけ用意できるように資材調達を最適化する方法のため適正な在庫を持ち、過不足なく取引先に部品を供給できます。「ATOMS QUBEの導入で紙の台帳から脱却し、さらに生産もMRP方式に進化させることを狙った」と、曽田氏は話します。

導入と成果

1000種類以上の部品の材料発注と加工指示が自動化
現場が製造予定を把握し進捗状況の共有も実現

 ATOMS QUBEの導入によって、曽田製作所の生産管理システムは大きく生まれ変わりました。まず、担当者による紙の台帳は廃止。生産管理はATOMS QUBEに備わっている MRP機能を活用することで、材料の発注や現場への加工指示もすべてが自動的に行われる仕組みが整備されたのです。
例えば、加工するのに8日間を要する部品があるとします。取引先から注文があった際、在庫が足りていればATOMS QUBEから加工指示は出ません。ただし、不足するようであれば、必要となる日から逆算して少なくとも8日前には加工指示が自動的に出ます。それに合わせて材料の発注指示も自動で行われます。また、頻繁に注文がある商品であれば、適正在庫を60個に設定し、30個の注文が入ったら、加工指示を即座に出して補充し一定量を保持するといったことも行います。
「従来は、担当者が自分の判断で材料を注文したり、逆算して加工指示を出したりしていましたが、これだと誤差が生じてしまい、過不足が起こることも少なくありませんでした。ATOMS QUBEではそうした問題は起こらず、自動判定されます。結果、遅延やトラブルは解消されていきました」と、システム運用担当の室谷貴志氏は話します。こうした仕組みは1000種類以上のすべての部品に適用されており、業務効率化につながっています。
一方で、今回の導入を機に、自社サーバーでの運用をなくし、クラウドサービスを利用することによって、運用業務負荷の軽減とコア業務への注力を実現しています。サーバーはクオリカデータセンターで24時間監視されており、サーバーの老朽化対応、OSバージョンアップ、セキュリティ対策、BCP対策など全てをクオリカに任せることができるのも大きな利点です。
現場での活用も進んでいます。ATOMS QUBEの機能を使って、工場の各製造グループにひと月ごとの予定表が提示できるようになり、現場の管理者が全体の製造計画を見て、人の配置などの対応が可能になりました。加えて、同社ではシステムを独自にカスタマイズし、現場で加工が完了した通知を入れると社内全体で共有できるように作り変えています。取引先から問い合わせがあった場合、担当者はこの通知機能によって進捗状況を確認して即座に回答できる仕組みになっているのです。
ただし、こうした仕組みはすぐに構築できたわけではありません。稼働当初は誤った閾値の設定や現場の活用が進まないなど、問題を抱えていました。そうした問題の芽を一つひとつ潰していき、本格的に活用できるようになるまでには約3年の月日を要したそうです。「ATOMS QUBEは機能が豊富。システムを走らせながら、自社に必要な機能を見定め、設定を改善していくことが重要です」(曽田氏)

(画面)製造日程照会

 

【左側】(画面)受注比較/【右側】(画面)WC負荷算出

(画面)予実グラフ

今後の目標

BIツールを独自に連係して予実管理を実施
“先読み”して生産計画や設備投資に役立てる

 曽田製作所ではさらにカスタマイズを進めています。データをグラフなどで可視化できるツール「Microsoft Power BI」を用い、ATOMS QUBEから抽出したCSVデータを取り込み、さまざまな角度から生産管理の分析を行っているのです。その一例が生産の予実管理です。同社にはコマツなどの取引先から受注の内示(見込み)が日々寄せられます。それらのデータから仕事量を自動計算し、現場の工作機械の許容量と照合してオーバーになっていないか、グラフ化して常に確認しています。オーバーになりそうな場合は、他の工作機械に振り分けるなどして調整が可能です。また、実際に納品した実績を入れたグラフも見て、予実の差や予算の消化率などを把握し、今後の生産計画や設備投資の策定など“先読み”したビジネスに役立てることもできます。「こうしたBIツールのグラフは取引先とも共有しています。実は、納期にも影響が及ぶ我々の工場の稼働状況は取引先が最も見たいデータのひとつ。それが可視化できることは先方にとっても安心材料になっています」(室谷氏)。
 こうしてATOMS QUBEの導入によって、さまざまなメリットを享受し、従業員の負荷軽減や問題発生前に必要な対策を打てるようになった曽田製作所。「今後はシステム導入による業務の簡素化で生まれた余剰時間や人員を、次の新たな業務に取り組んでもらい、ものづくりの精度をさらに高めていきたい」と、曽田社長は話しています。

導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
株式会社曽田製作所
所在地
石川県小松市高堂町ロ75番地
創立
1935年9月15日
資本金
1000万円
事業内容
ブルドーザーやホイールローダー、ダンプといった建機のトランスミッションの部品、ショベルの油圧シリンダー、その他産業機械の部品など多種多様な製品を製造。海外の鉱山で建機の需要が旺盛なため高操業が続く。

サービス・ソリューション