ホーム導入事例株式会社すかいらーくホールディングス

レストランチェーン約3,000店舗のPOSレジを刷新
セルフレジを導入し、顧客満足度向上と業務効率化を実現

流通・サービス業

飲食業 株式会社すかいらーくホールディングス様

掲載日:2024年07月04日

導入ポイント

  • 課題
    ●キャッシュレス決済を取り入れたPOSレジシステムへの刷新が急務
    ●フルスクラッチからマイクロサービスに方針転換し、即応性を高める
  • 導入
    ●セルフレジなどの追加要件に対し、“合宿”を行い、柔軟かつ丁寧に対処
    ●毎晩50店舗のPOSレジを入れ替える類を見ない難題を着実に完遂
  • 効果
    ●セルフレジ導入により顧客の「待たされ感」が無くなり顧客満足度が向上
    ●業務効率化で従業員に余裕が生まれ、「慌てず笑顔溢れる接客」が可能に

課題

キャッシュレス決済対応のPOSレジへ刷新が急務
過去の教訓からフルスクラッチ型開発と決別

 すかいらーくホールディングスは、1970年にファミリーレストランを開業した草分け的存在です。現在、国内外に約3,000店舗という世界最大規模の直営レストランチェーンを運営。「食を楽しむ空間」を提供するため、お値打ち感重視の「ガスト」をはじめ、高原リゾートをイメージした「むさしの森珈琲」など、ライフスタイルの変化に合わせた幅広い事業展開をしています。また、コロナ禍ではいち早く宅配や持ち帰りの強化施策を講じました。
 そうした中、課題は2011年にフルスクラッチ開発で導入したPOSレジを中心とした店舗システムのリプレイスです。2016年にも大手ベンダー1社によるフルスクラッチ開発の入れ替えプロジェクトが立ち上がったことがあります。しかし、実験的に数店に導入したもののうまく機能せず、プロジェクトは中止となりました。
 その後、しばらくは既存システムを使い続けましたが、近年、再度POSレジの入れ替え案件がテーマとして浮上します。業界でキャッシュレス決済が注目され、POSレジの機能として実装する必要性が生じたからです。当時を同社マーケティング本部(IT統括)フィールドDXグループディレクターの三品繁氏はこう振り返ります。「それを機会に課題だった店舗システムも刷新しようと考えましたが、問題はその手法です。従来同様、フルスクラッチ開発にすると、時間もコストもかかります。過去に一度プロジェクトが中止になっており、対応できるベンダーがいるかどうかも未知数でした」。
 その中で、同社が注目した手法が、複数のサービスを組み合わせる「マイクロサービス」です。「その手法で、機能ごとに特化したシステムを組み合わせた方が、スピード感や確実性は高まると考えました。そこで当社では、過去の教訓を糧に、複数のベンダーと手を組み、新たな店舗システムを導入する決断をしたのです」(三品氏)。

 

株式会社すかいらーくホールディングス マーケティング本部(IT統括)
フィールドDXグループ ディレクター
三品繁 氏

選定

POSシステムに強いベンダー、クオリカが受注
マルチベンダー対応力も決め手に

 店舗システムの中でも、喫緊の課題が、時代にマッチしないPOSレジとオーダーエントリーシステム(注文を端末に入力し、厨房に送信・管理するシステム)の入れ替えです。同社で検討した結果、POSレジシステムを受注したのが、外食産業向け店舗管理ソリューション「TastyQube Growth」とPOSシステム「RealQube」の導入を提案したクオリカでした。理由を三品氏はこう話します。
「当然ながら、POSレジシステムに強いベンダーが条件で、クオリカは実績、実力ともに十分でした。加えて、もう一つ注目したのがクオリカの柔軟性です。クオリカは特定のハードウェアに限定せず、様々な機器の中から最良のものを選択できるため、従来と違い提案の幅の広がりが期待できます。また、今回は複数のベンダーのシステムを組み合わせる方針のため、各社との折衝や調整が必要となります。その点でも、クオリカは『プライムとしてしっかりベンダーのコントロールを行う』と明言し、信頼感を覚えたことも決め手となりました」。
 システムの刷新で目指すのは、業務効率化と同時に、顧客が入店から退店までの間、オーダーや会計含め、全て自分自身のタイミングで過ごせるようにし、顧客満足度を高めることです。その世界観実現のため、既に各テーブルで顧客が自ら注文ができるデジタルメニューブック(テーブルトップオーダー、TTO)は導入済みでした。後は、会計の部分に着目し、どのような機能を実装すれば、顧客自身のタイミングで過ごすことが可能になるのか。検討した結果、新たな要件として加えられたのが、「セルフレジ」の導入でした。

 

導入・評価

“合宿”が転機となりPOSレジ大規模導入を完遂
セルフレジで待たされ感が減り顧客満足度向上

 新たな要件が加わる中、クオリカが行ったのが、三品氏を含む、すかいらーくの担当者と他のベンダー、自社による1週間の“合宿”です。クオリカの会議室に集合し、セルフレジや、それ以外の新たな要件について朝から晩まで議論を重ねました。「合宿の成果は、確認漏れがなくなり、問題や解決策に対する認識が互いに深まったこと。丁寧な意思疎通が奏功し、その後、計画が頓挫してしまうことを未然に防げたと思います。計画が変わった場合、どう対応するかが重要で、クオリカの進め方は柔軟かつ的確でした」(三品氏)。
実際、現場でPOSレジの入れ替えがスタートした後も、クオリカの本領が発揮されます。プロジェクトは、毎晩、各店が閉店した後に50店舗のPOSレジを入れ替え、翌朝には店舗責任者に引き渡す作業を国内約3,000店舗に対して順次行っていくという前代未聞の導入計画でした。それらの現場では何らかの問題も発生します。そこで、クオリカは自らが主導し、導入後に毎朝レビューを行い、問題の解決策をその日の夜に導入予定の次の現場に伝達して、改善を図るPDCAサイクルを日々回し続け、プロジェクトの品質を高めていきました。加えて、三品氏が評価するのは、ガスト、バーミヤンなど各ブランドの最初の店舗にPOSレジを導入する際には、必ずクオリカのSEが現場に張り付き、問題に即応できる体制を整えていたことです。「一般的にSEは自社に待機しリモートで対応しますが、現場にいないと対応しづらいトラブルはあります。今回も店舗の照明の明るさが影響してセルフレジで伝票の二次元バーコードが読み込めないなど、リモートでは対処しきれない問題が発生しました。そんな事態にもクオリカのSEはその場で修正し、事なきを得ています。こうして常に私たちに寄り添ってプロジェクトを進める姿勢は随所に見られ、大きな安心材料でした」。
 無事、全店に新POSレジの導入が完了し、稼働後は着実に成果が出ています。例えばセルフレジによって顧客の会計時間は稼働前の80秒から稼働後は9秒に大幅に短縮されています。「お客様がレジの前に並んで待つことなく、自分のタイミングで会計ができるという世界観が達成できています。この“待たされ感がない”ことが重要で、顧客満足度の向上にも寄与しています」と、三品氏は言います。

 

効果

優位性は発注側の難しい提案を具現化する力
今後も期待したい、寄り添う“伴走型”の開発

 クオリカの技術力によって、さらに進化した機能が備わりました。その一つが、POSレジとTTOが連動し、会計が終わったテーブル端末の画面が赤く光る仕組みです。「赤く光れば皿を下げるサイン。従業員による下げテーブルの発見速度が短縮されています」(三品氏)。一方、POSレジも画期的な改良が施されています。それが、従業員が操作する有人レジの大きな画面を、顧客側に180度回転させるとセルフレジに早変わりするハイブリッドレジを開発したことです。自動釣銭機も会計する顧客側を向き、現金会計を求める顧客も多い実情に対応。一台二役のためコスト削減や省スペース化にもつながっています。「テーブルでの会計完了の視認もハイブリッドレジも当社からのアイデアです。ただし、実現するのは骨の折れること。それを決して『無理』と言わず、『こうしたらできる』と実行できる“具現化する力”もクオリカの優位性だと考えております」(三品氏)。
 そして、今では店舗にとって大切な要素も目立ってきているといいます。それは、業務効率化によって従業員に余裕が生まれ、慌てず接客できる機会が増えたことです。「これも大きな成果です。今後もクオリカには私たちに寄り添う“伴走型”の開発で、店舗システムの刷新を支援していただきたい」と、三品氏は期待を寄せています。

導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
株式会社すかいらーくホールディングス
所在地
東京都武蔵野市西久保1-25-8(三鷹 第3オフィス)
設立
1962年(昭和37年)4月4日
資本金
251億3400万円
事業内容
ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサンなど和洋中のテーブルレストランを中核に、国内外で2964店舗(2024年3月31日時点)を運営。正社員 は5700名、クルーは9万8015名(2023年12月31日時点)。

お問い合わせ先:流通サービス事業部
TEL:03-5937-0760
FAX:03-5937-0803