課題
POS・本部システムの運用コストを問題視
問題解決ができるベンダーを模索し、条件に合うクオリカに依頼
株式会社コロワイド(以下、コロワイド)は、牛角・しゃぶしゃぶ温野菜・土間土間・フレッシュネスバーガーなどを運営する株式会社レインズインターナショナル(以下、レインズ)をはじめ、かっぱ寿司・大戸屋・ステーキ宮など様々なブランドを運営する事業会社を傘下に持つ日本でも有数の飲食企業であり、グループの総店舗数は国内・海外を合わせて2600店舗を超えています(2023年3月末時点)。またTTO※や配膳ロボットの早期導入など、フードテックの領域にも積極的に取り組んでいます。
コロワイドグループの中で、クオリカのシステムを最初に導入したのはレインズでした。その当時、レインズは単独で1200店舗を超え、店舗システムに多くの課題を抱えており、その中でも特に肥大化したシステム運用コストに苦慮していました。「当時契約していたシステムは機能追加を繰り返した結果、運用費が高額に膨れ上がっており、それらを一新するために、安心してリプレイスを任せられるベンダーを模索していました。ベンダー選定の条件は、1200店舗を超える規模の本部システムを開発、運用できる体制を整えることができること。そしてパッケージソフトを各ブランドの状況に応じてカスタマイズできる開発力があることの2点でした」と、コロワイド執行役員システム企画本部長の大場良二氏は話します。
そして、条件に合致するベンダーを探す中、候補に挙がったのがクオリカでした。クオリカがまず初めに実施したのは、フランチャイズ店舗を含む全店舖をつなぐプライベートネットワークのリプレイスでした。フランチャイズ店舗でも切り替えを進めやすい月額レンタル方式でのサービス提供を行い、滞りなく構築・運用することで実績が積み上がり、レインズの信頼を獲得していきました。「そうした実績の“布石”をレインズ社内に打った上で、いよいよ“本丸”となるPOSと本部システムの入れ換えをクオリカに依頼することにしたのです」(大場氏)。
※TTO(テーブルトップオーダー):飲食店などで利用者自身がタッチパネル端末などからオーダーするシステムのこと。
評価
SEの「現場主義」と「理解力の高さ」を評価
大量の問い合わせにも的確かつ細やかに対応
当時、クオリカが提案を行い採用されたのが、店舗管理システム「TastyQube」(テイスティーキューブ、TastyQube Growthの前バージョン)でした。システム入れ換えのプロジェクトがスタートし各工程が進む中、クオリカのSE(システムエンジニア)の仕事ぶりを見て、実感したことを大場氏はこう話します。「クオリカのSEの特徴の一つは、店舗スタッフがどうすれば使いやすくなるかを意識して開発を行う“姿勢”でした。私たちのような本部メンバーと話を進めていると、往々にしてその視点は失われがちですが、常に現場を考える“現場主義”が徹底されている点を高く評価しました」。
また、「高い生産性を持って開発を進められていることよって、結果として開発コストが低減されることも特徴の一つでした」と言います。「これは、私たちの要求に対し、各々のSEがこれまでの経験からその本質をすぐに理解し設計に反映させるため、話が早く進むことが多いからだと思います。その積み重ねによって、例えば、他社であれば半年以上かかるところを、4カ月で完了し、その分コストが抑えられるというわけです」。
一方で、大場氏は稼働後の運用フェーズに関してもクオリカならではの良さに言及します。「店舗からの問い合わせを受けるヘルプデスクの運営もクオリカに任せています。POSが入れ換わった直後はトラブルや使い方で大量の問い合わせが発生しますが、それらの対応が的確かつ細やかで、安心して任せることができています」。こうしてSEの対応力とヘルプデスクの運用力によって、クオリカは、大規模なPOS・本部システムの入れ換えを円滑に行うことに成功したのです。
導入と成果
難易度の高い大規模な受発注システム統合を実現
TastyQube Growthもグループの大半で導入へ
クオリカに対する信頼感は高まり、コロワイドグループの他の事業会社でも様々なプロジェクトを実施していくことになります。特に大規模で重要度が高かったのが、コロワイドグループ内で複数稼働していた受発注システムを、TastyQubeのモジュールをベースにオリジナル開発で統合した案件です。「受発注システムは、止まると店舗に食材が届かず営業ができなくなる、いわば生命線です。それを営業形態も多岐にわたり2000店舗を超える規模で、営業を止めることなく置き換えていくというのは非常に困難を伴うプロジェクトでした」(大場氏)。そうした難易度の高いプロジェクトにおいても、クオリカは技術力と対応力を発揮。コロワイドの期待に応え、全店舗の受発注システム統合プロジェクトを成し遂げたのです。
その後、グループ入りしたフレッシュネスバーガーに対しても、POSと本部システムの統合を実施。フレッシュネスバーガーのようなファーストフードチェーンは、朝から夜遅くまで営業しているため、入れ換え作業が深夜になるなど、時間の制限が多くありました。加えて、1店舗にPOSレジが複数あるため作業時間がかかり、当時約180店舗だった全店の入れ換えをスムーズに進めるには、シビアなスケジュールコントロールが求められました。「その中でも、クオリカが展開の仕切りをしっかり遂行し、この案件も無事に全店舗完了という結果を出してくれた」と、大場氏は言います。
以後も、POSシステムと連動する大規模なQR決済システムの構築をクオリカが担当し、かなり早期の段階で全店稼働させています。さらに、会計の際に商品は店舗スタッフが打ち、決済手段を顧客が選んで支払うセミセルフレジの導入もクオリカが推進。「コロナ前から導入を開始していたことで、コロナ禍で非接触での会計を希望する店舗のニーズに対応することができました」(大場氏)。
そして、現時点での総仕上げとして行ったのが、レインズのPOS・本部システムを最新のTastyQube Growthにフルモデルチェンジすることと、同システムをコロワイドグループの他のブランドにも横展開することでした。こうして、長い年月の中で、一歩ずつ信頼と実績を積み重ね、コロワイドグループのPOS・本部システムがTastyQube Growthに統一され、運用されることになったのです。
今後の展開
パッケージを自在にカスタマイズできる強み
次のステップは“フル”セルフレジの導入
コロワイドグループとクオリカとの取引はレインズ単独での利用も含めれば、10年以上も継続しています。その中でのクオリカの強みを大場氏は改めて次のように話します。「2000店舗超の規模に対応できる体制を整えることができることは、ベンダー選定の入口として確かに重要です。それはベンダーの会社紹介やニュースリリースを見れば分かることかもしれません。ただ、それ以上に大切なのが、SEの対応力や現場の理解度、柔軟性です。それは事前に提示される数字などからは知り得ないことで、実際に取引をしてみないと分からないことです。クオリカはそうしたSEの能力が高い点が大きなポイントで、パッケージソフトを当社に合うように自在にカスタマイズしながら常にその強みを発揮してくれたからこそ、長期にわたる取引関係が続いているのだと考えています」。
今後、大場氏の念頭にあるのは、来店された顧客が会計作業を全て行う“フル”セルフレジの導入です。「居酒屋など食事後に会計する『後会計』の店舗に加え、ファーストフードなど事前に会計する『前会計』の店舖もあり、難易度は高いシステム。課題は大きいと思いますが、クオリカと導入を検討していきたい」と大場氏は話しています。
お客様のプロフィール
- 会社名
- 株式会社コロワイド
- 所在地
- 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 ランドマークタワー 12F
- 設立
- 1963年4月1日
- 資本金
- 279億5百万円
- 事業内容
- 焼肉チェーンの牛角、かっぱ寿司、しゃぶしゃぶ温野菜、大戸屋、フレッシュネスバーガー、ステーキ宮など飲食店を幅広く展開。総店舗数は2640店舗、グループ会社は49社、総従業員数は約5万5000人に上る(2023年3月末時点)。
サービス・ソリューション
お問い合わせ先:流通サービス事業部
TEL:03-5937-0760
FAX:03-5937-0803