独自システムからPITT Qubeにリプレイス。
農業機械業界に展開していく
三菱マヒンドラ農機(株)は島根県に本社を構える、トラクターやコンバイン、田植機などの農業機械全般の開発・製造を手がけるメーカーです。総合農機メーカーとして日本第4位。 日本の農業をリードする企業です。
創業は古く、1914年(大正3年)にまでさかのぼります。創業者の佐藤忠次郎氏は「農業機械の発明の父」と言われる人物。少年の頃、横転した自転車の車輪の動きをヒントに「サトー式稲麦扱機」を開発。その後、数々の農機具を発明し、1914年に佐藤商会を開業。1945年に佐藤造機(株)が設立されました。
1980年には、三菱機器販売(株)と合併し社名を三菱農機(株)に変更。2003年、自動車や農機など、製造分野で多角化的に事業を展開する、インド財閥のマヒンドラ&マヒンドラ社のグループ会社であるマヒンドラUSA社とOEM契約を締結。そして、2015年にマヒンドラ&マヒンドラ社との資本提携により三菱マヒンドラ農機(株)に社名を変更しました。
主力製品はトラクターやコンバインなど。トラクターは138.8馬力のGCRシリーズから13~17馬力のGFシリーズまで幅広くラインナップ。また、近年ではスマート農業にも取り組んでおり、低コスト操舵アシスト装置SMARTEYEDRIVE(スマートアイドライブ)を搭載したトラクターなどもリリースしています。
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- フルクローラトラクタ「GCR1380」
「当社の製品カタログは、古くは紙で印刷したものやCD-ROMで配布していました。その後、2006年に、カタログ配信システムを開発しました」と部品部の鹿野敬一部長は振り返ります。
カタログ配信システムとは、全国の販売店が、修理や整備に必要な部品をwebで自由に閲覧できるようにすることを目的に、システム会社に発注して完成したシステムでした。
しかし、このカタログ配信システムは紙のカタログをデータ化して公開していたため、製品の仕様に変更が生じたとしても、その変更点を容易には反映できない、というデメリットがありました。
「製品はどうしても変更が起きます。しかし、従来のシステムだと製品カタログの改訂版が発行されない限りは古いままです。そのため販売店から、注文したものが届いたけれど、製品についていたものと違う。もっと更新を早くして欲しいと要望されていました」(鹿野氏)
また、カタログ配信システムは十数年前に開発されたため、老朽化によるセキュリティ面でも不安があったといいます。各方面からさまざまな要求が上がっていたため、カタログ配信システムを開発依頼した会社に相談したところ、改修するのには高額な費用がかかる、という回答があったことから新たなシステムの導入を検討することとなりました。
「そのようなときに、当社の開発部門担当者が、クオリカの遠隔監視・予防保全システムCareQube+(ケアキューブ)を活用していた関係で、担当者と一緒に2016年に大阪で開催されたクオリカのセミナーに行くことになりました。そこで、PITT Qube(ピットキューブ)を知ったのです」(鹿野氏)
次世代型WEBパーツカタログPITT Qubeは、前身のCSS-Netの後継としてリリースされたソリューションです。鹿野氏は約20社もの農機メーカー、提携メーカーがCSS-Netを採用していることから、その後継ソリューションであるPITT Qubeの将来性に魅力を感じたといいます。
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- 左から 三菱マヒンドラ農機株式会社 部品部部長 鹿野敬一 氏 三菱マヒンドラ農機株式会社 部品部 飛田絢香 氏
PITT Qubeを導入するにあたり、各方面からの要望を抽出してまとめ、それをカタログ配信システムを開発したシステム会社と別のシステム会社、そしてクオリカの3社に提示しコンペを実施しました。 「そのなかで、知見があり提携メーカーと連携できる可能性があるクオリカが良い、となり、支援を依頼することにしました」(鹿野氏)
システム導入は2016年11月からスタートし、2017年8月まで、約10か月を要しました。 「クオリカには従来のシステムからデータを吸い上げるところからお手伝いしていただきました。特に大変だったのは従来のシステムに登録していた約400冊のカタログデータをPITT Qubeに移行することでした。その部分もクオリカに協力していただけました」と部品部の飛田絢香氏。 カタログ一冊に複数ページあるため、製品は約1000点と膨大でした。また、単純に移行したわけではなく、もとのデータ不備による修正作業など、データ精査も必要になり、データ移行に想定以上の時間がかかりました。
「クオリカには、私たちの要望を親身になって聞いていただきました。数ある要望をどうすれば叶えられるのか、という点についてもずいぶんと検討していただきました。従来のシステムではカタログをクリックすると、製品を注文できるサイトに移り、発注処理ができるようになっていたのですが、その連携部分の開発にも協力していただきました」(飛田氏)
従来のカタログ配信システムでは自社でアップすることができず、都度、システム会社に依頼していました。そのため、長い時には1か月程かかる場合もありました。それが、PITT Qubeだと数時間もあれば訂正できるようになりました。
また、PITT Qubeを導入したことで、更新のスピードや懸念していたセキュリティ面が向上したことは大きなメリットでした。
「やはり、すぐに登録できて、早く公開できるようになったことは大きなメリットでした。また、間違いもすぐに修正できるようになりました。常にアップデートできるところがよかった点です」(飛田氏)
さらに、従来のシステムはブラウザがInternet Explorerに限定されていたため、使い勝手に不便があったのですが、PITT Qubeにより、マルチブラウザになったことで利便性も向上しました。
「アクセスログを見ているとわかるのですが、なかには夜遅くまで見てくれている販売店もあります。かなり活用されているようです」(鹿野氏)
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- PITT Qubeでの連携イメージ
今後は、システムの連携に取り組みたいといいます。会社内での運用にとどまらず、広く農業機械業界全体との連携を目指すとのことです。
「そのためには、クオリカに頑張っていただいて、PITT Qubeをもっと農業機械業界に浸透させていただきたいと思っています。提携できるメーカーが増えることで売上増加や問い合わせ回答の手間が削減されることを期待しています。農業機械業界全体で連携することができれば、販売店やユーザーは今まで以上に便利になると思います」(鹿野氏)
また、今後の展開としてPITT QubeとCareQube+の連携も視野に入れているとのことです。
CareQube+は、遠隔監視・予防保全システムです。農機に応用すると、農機の稼働状況や、障害発生時の状況をリアルタイムで把握し、原因を調査したり、部品の消耗状態を管理したりすることが実現できます。PITT Qubeと連携することで、農機を活用している生産者に対しサービスが向上できるというメリットが生まれます。
「今、PITT Qubeに登録しているデータは、部品番号単位にはなっていません。それを部品番号単位にすることで連携して活用できると考えています。ただ、我々と生産者の間に販売店があるので、そことの連携が課題となります。今はまだ、模索している状況です」(鹿野氏)
今後も、自社のみならず、農業機械業界全体の活用、そして農業全体の活性化を見据えて利便性の向上に取り組みたいと語ります。
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- 鹿野氏、飛田氏と、PITT Qubeの導入を担当したクオリカ社員
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会社名 |
三菱マヒンドラ農機株式会社 |
所在地 |
島根県松江市東出雲町揖屋667-1 |
設立 |
1945年2月16日 |
資本金 |
45億1万円 |
事業内容 |
各種農業機械の開発・販売 |
従業員数 |
1,376名(平成29年4月1日現在(連結)) |
売上高 |
448億円(平成29年3月期(連結)) |

お客様のパーツカタログ・マニュアルのデータ変換からWeb配信、サーバ管理までをすべて提供します。
PITT Qube
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掲載日:2019年05月08日