ホーム導入事例キリンシティ株式会社

TastyQube Growthで理論ベースのFLコントロールへ
仕事の属人化から脱却し、大幅な業務効率向上に挑む

流通・サービス業

ビアレストラン キリンシティ株式会社様

掲載日:2022年09月15日

導入ポイント

  • 課題
    ●キリングループの厳格なセキュリティポリシーをクリアする必要性
    ●店舗管理システムを更新し、デジタル活用、業務効率化を図りたい
  • 選定
    ●理論に基づいたFLコントロールが可能であること
    ●外食のノウハウが詰まったパッケージで、業務改善が期待できること
  • 効果
    ●発注、棚卸、勤怠打刻などがiPadで完結でき通常業務が大幅に効率化
    ●店舗コミュニケーション機能を活用し、様々な情報の周知・共有を実現

課題

セキュリティ、旧システムからの脱却が課題に
最大限の業務改善効果を狙いパッケージを導入

 キリンシティはキリングループの一員であり、様々な樽生ビールを提供するビアレストランです。近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関しては、2020年に来店客自身が注文できるセルフオーダーシステムを導入するなど、積極的に推進しています。
 そうした中、問題となっていたのが、約20年使い続けていた店舗管理システムの老朽化です。「スクラッチで構築し、長年にわたりアドオンで機能追加してきましたが、デジタルによる効果的な店舗管理という点で機能面の限界を感じざるを得ない状態でした。加えて、今後、キリングループの厳格なセキュリティポリシーをクリアできない可能性があることも課題でした」と、キリンシティ情報システム部担当部長の山内將(やまのうちただし)氏は話します。
また、当時のシステムはパソコン上でしか操作できず、タブレットなどのモバイル端末による作業が行えないという制約があり、現場からも不満の声が漏れてくる状況だったのです。
 そこで、キリンシティは基幹システムのリプレイスを決断します。導入を検討したのが、従来のようなスクラッチで構築するシステムではなく、様々なユーザーの声が反映され、業務効率化のための機能が予め備わっているパッケージソフトです。その理由を、同社執行役員で経営企画部の部長である鈴江義典氏はこう説明します。「スクラッチで我々の仕事のやり方に合わせて、以前と同じようなシステムを作れば、使い勝手を良くすることはできます。しかし、それでは前例踏襲型になり、業務の改善効果は不十分になるでしょう。そうせずに、思い切って最新のパッケージを導入し、むしろ我々の方がシステムに合わせて仕事のやり方をアップデートできれば、最大限の業務改善効果を得られると考えたのです」。

  

選定

極めて高かった社内体制とシステムの信頼性
システムでFLコントロールができる点も評価

 パッケージソフトの導入を視野に、ベンダー4社がプレゼンに参加。選考の結果、採用されたのがクオリカのTastyQube Growth(以下、TQG)でした。決め手となった要因を、山内氏はこう話します。「まず、クオリカの社内体制やシステムが、キリングループのセキュリティポリシーの基準をクリアしており、参加した企業の中では信頼度が極めて高かったことが一つ。そして、もう一つが、理論発注や理論シフト作成が可能であり、適切なFLコントロールが実現できるシステムであると考えたことです」。
 FLコントロールとは、売上高に占めるFood(食材費)とLabor(人件費)の割合を管理することで、飲食店にとって最も重要な業務の一つです。ただ、キリンシティではこの業務がいわば“職人芸”となって、精度にバラつきがあり、属人化から脱却して標準化を図ることが喫緊の課題でした。TQGは、レシピ情報とメニュー別の売上実績から食材使用量と残数を把握し、発注が必要な食材の種類と量を自動算出する機能と、売上予測に応じて各日に必要な人員を自動算出する機能があります。これを使えば、それぞれをシステムで管理する理論発注と理論シフト作成が可能になると判断したのです。
 さらに、iPadでTQGを操作して店舗管理業務を行うことが可能で、これも現場の作業効率を向上させるポイントになると評価。「我々のニーズをここまでカバーしているのは、TQGしかなかった」と、鈴江氏は振り返ります。

 

左から
キリンシティ株式会社 執行役員 経営企画部部長 鈴江義典 氏
キリンシティ株式会社 情報システム部 担当部長 山内將 氏

導入と成果

月次予算の予測値をシステムが自動算出
理論発注から業務効率改善の実現へ

 キリンシティでは、TQGの導入後から約半年後、操作がある程度慣れてきたタイミングで理論発注をスタートさせています。最初にメスを入れたのが翌月以降の予算(売上計画)の策定方法です。以前は、本社が策定した月間売上目標を、店舗責任者が手作業で各日に案分し、日次予算を作成していましたが、実態は単なる数字合わせ。特に刻一刻と状況が変わるコロナ禍においては、理論計算する上で意味の無いものでした。そこで、TQGに登録する月間売上目標を、現実に即した予測値に変えることにしたのです。
「TQGでは、前月実績も含めた過去のデータを使って3種類の予算案を自動算出することができ、過去の振り分け方を参考として読み込ませると、日次にも自動的に案分してくれます。店舗責任者はそうして出てきた日次予算案を見ながら、直近のトレンドや実施されるイベント、キャンペーンを念頭に置きつつ、現実的な予算を確定することが可能になっています。これによって、データ集計や予算を検討する時間が大幅に短縮されたと考えています」(山内氏)。
次に実施したのが、その日次予算に対して理論発注を行っていくことです。ただし、TQGが自動算出する理論値通りに発注するとバッファが加味できないため、一部はチーフなどの責任者が見て、数字を調整する必要があります。「ただ、そうした判断が求められる点を除けば、理論発注の数字でアルバイトでも発注業務を行うことができます。つまり、経験が無くても、理論的には品切れを起こしたり、過剰発注して食材の鮮度が落ちたりすることが無い、最低限の発注ができるということ。近い将来、経験の浅いアルバイトでも安心して発注を任せられる状態を目指して、今は取り組んでいます」(山内氏)。
 一方、TQGのコミュニケーション機能も大いに活用。例えば、お知らせ機能を使った本部から店舗への情報発信、ドキュメントの共有、店舗の意見を聞くアンケートを行っています。「本部・店舗間の情報の一元化を図るのに非常に便利なツール。こうした発注から棚卸、勤怠打刻、コミュニケーションまで、iPad一つで完結できるようになり、この業務改善効果は大きい」」と、鈴江氏は話します。

 

今後の展開

TQGを使い倒して業務フローをさらなる進化へ
クオリカの柔軟な対応力と高い技術力も評価

 TQGによって業務フローが進化したキリンシティですが、今後はより磨きを掛け、精度を高めていく計画です。「理論発注は、人の手の掛かる部分をできる限り減らしていき、最終的にはTQGが自動算出した理論値で誰もが発注できるようにしたい。そうすればシフトの自由度も上がり、店舗を回しやすくなります」(山内氏)。
 理論シフト作成も次なるチャレンジとして取り組もうとしています。「人手不足の中、当社ではアルバイトが一つの店舗ではなく、エリアの複数の店舗に所属し、日によって異なる店舗に出勤する新たなシフト体制を模索しています。TQGでこの新シフト体制に対応できる仕組みを作り、少ない人数でも効率的な要員配置を成し遂げていくのが、現在の大きな目標です」(鈴江氏)。
 また、クオリカに対しても大きな期待を掛けています。「実は、今回のシステム導入では、当初予定に無かった経理ソフトと店舗管理システムの連携も追加で構築していただき、柔軟な対応力と高い技術力を評価しています。これからもクオリカの支援を受けながら、TQGを最大限に使い倒し、最適なFLコントロールを社内に浸透させていきたいと考えています」(山内氏)。


クオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
キリンシティ株式会社
所在地
東京都中央区新川1-28-38 東京ダイヤビルディング1号館1F
設立
1983年5月14日
資本金
1億円
事業内容
キリンビールの外食事業部門として創業。ドイツピルスナービールの伝統技である「3回注ぎ」による樽生ビールを提供する。社内資格制度「ビアマイスター制度」を設け、ビール注ぎのプロを育成。直営店とFC店合計で32店舗を運営。

お問い合わせ先:流通サービス事業部
TEL:03-5937-0760
FAX:03-5937-0803