ホーム導入事例株式会社商船三井

取引先とのやり取りをkintoneで管理

共通ソリューション

海運業 株式会社商船三井様

掲載日:2021年04月19日

導入ポイント

  • 課題
    ●取引先とのやり取りがExcel・メールベースで非効率
    ●情報や履歴が一元管理されてなく、過去情報参照や引継ぎが困難
  • 選定ポイント
    ●スクラッチ開発の10分の1のコスト、5分の1の短期間で構築可能
    ●社内外の多岐にわたるカスタマイズの要望に応えるクオリカの技術力
  • 効果
    ●取引先とのやり取りに必要な情報がクラウドに集約され、検索性が向上
    ●若手も簡単に情報にアクセスでき、熟練者の知見で指示や交渉が可能に

課題

新造船で要求する数千に及ぶ仕様をExcelで管理
過去の仕様やPCFが一元管理されず、“捜索”が困難    


    商船三井は、700隻超の船舶を運航し、世界の物資を輸送する日本が誇る海運大手です。近年は、船を特定の場所に浮かべて活用する浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備や、洋上風力発電設備設置船、あるいは帆船技術を使った環境負荷の低い船舶の開発など新分野にも取り組んでいます。従来型の船舶に加え、こうした様々な次世代型タイプにも領域が広がりより業務が増える中、新規の船舶の仕様を決定し、取引先に対して新造船監督業務を行う、商船三井の技術部とグループ会社のMOLシップテックの課題となっていたのが業務効率化です。特に問題意識を持っていたのが、設計監理業務を行う上で、取引先に対する仕様の交渉や指示事項などのやり取りが、メールとExcelベースで非効率な点でした。
 「造船は一隻ずつオーダーメイドで作るのが基本。その際、当社は建造仕様への確認・要求事項が多岐にわたり、船舶の機能・安全性やメンテナンス性、船体や機器の寿命、乗務員の操作・居住性などを向上させるために独自に設定している技術仕様やチェックリストを策定し、その数は2000~3000項目に上ります。新造船プロジェクトでは技術仕様のPDCAサイクルを基本に、過去のプロジェクトで作成された指示書類のプラン・コメント・フォーム(PCF)や運航船情報を参考にして、技術仕様の実建造船に適用を決めてゆくのですが、その過去プロジェクトのPCFは案件ごとにばらばらのExcelシートで作成され、また保管場所を探すのに苦労し、どれが最新版かもわからないものもあり、データを“捜索”するのにとにかく膨大な時間が掛かっていた。そしてプロジェクトの基本のPDCAサイクルを回すことに多大な労力がかかっていたのです」(技術革新本部技術部設計チームコーディネーターの山田晋大氏)。仕様もPCF文書も全てのデータを一つのシステムで管理し、新造船で仕様を決める際、多様な過去案件の仕様を「見たい時にすぐ見られる」ようにしたい――。その念願を形にするため、商船三井では、新たなデータベースシステムの構築を決断したのです。

    

左から
株式会社商船三井
技術革新本部技術部設計チームコーディネーター 山田晋大 氏
株式会社MOLシップテック
設計部技師 足達美奈 氏

選定

スクラッチより費用と導入期間で有利なkintoneを選択
決して簡単ではない開発をクオリカの技術力に託す

     商船三井では、システム選定を前に、データベースをスクラッチで開発するか、SaaSを活用したクラウドサービスで開発するかを見定めるため、両方で要件定義すると共にプロトタイプを作成し評価・検証するプロセスを採用しています。SaaSでは、様々なサービスがある中、機能や開発運用に要するコスト面、また、社内での一部導入実績を踏まえ、候補となったのが、サイボウズが提供する業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」でした。そして、kintoneの導入実績が豊富で、製造業に強く、「サイボウズオフィシャル ゴールドパートナー」にも認定されているクオリカに構築の支援依頼が来たのです。
    プロトタイプを商船三井で検証した結果、選ばれたのがkintoneです。その理由を山田氏は次のように話します。「スクラッチで開発した場合、kintoneとの比較で費用は約10倍、期間は5~6倍要することが判明。できるだけ低予算ですぐにでも導入したい意向の当社にとっては、kintoneを選択しない手はありませんでした。後は、kintoneでどこまでできるかにフォーカスして検討。データを統合し、ウェブ上でアクセスでき、やり取りの履歴も全て残していくシステムは、簡単ではないものでした。しかし、kintoneの実績とクオリカの技術があれば成し遂げられると考え、導入に踏み切ったのです」。

導入と成果

案件の履歴が残り、引継ぎの時間と手間が大幅減
国内外で横展開し、データの統合管理を推進

    kintone上では、進行中の案件について、仕様とPCFの履歴が蓄積されていくところ、作業期間が2~3年の長期になることが多い新造船のプロジェクトの中では、担当者の人事異動の場合の引継ぎを行う際も有効だと言います。「今まで、引継ぎ時は仕様やPCFのファイルを探してまとめ、メールの中からやり取りを抜き出すなど時間が掛かっていましたが、kintoneの導入以降は、そうした手間がなくなり、非常にスムーズになっています」(足達氏)。加えて、以前は紙で管理していたモノもデータベース上に貼り付け可能になり、それらを見ながら仕様やPCFを確認できるように改良。電子化とデータの集約に成功したことで、業務効率が一気に改善されたのです。
    取引先の協力も得ながら、既に4つのプロジェクトが新システムを使って推進されていますが、今後は活用機会を増やし、習熟していくことが目標です。「継続してクオリカには保守運用に加え、さらなる提案による課題解決を期待しています。その上で、国内だけでなく海外にも横展開し、プロジェクトの統合的なデータ管理を進めていきたい」と、山田氏は将来的な展望を語っています。

お客様のプロフィール

会社名
株式会社商船三井
所在地
東京都港区虎ノ門2丁目1番1号
設立
1942/12/1
資本金
654億35万1028円
事業内容
世界最大規模の船隊で鉄鉱石や石炭、穀物、鋼材を輸送するドライバルク船(ばら積み船)サービスから、タンカー、LNG船によるエネルギー輸送、自動車など製品輸送まで、海の物流を幅広く手掛ける海運大手の企業。

クオリカ 担当者のコメント

プロジェクトが成功した一番の要因はお客様と“一緒にアイデアを詰め込んで”開発を進めたことだと思っております。
MOL様のカフェのおいしいバナナジュースを飲みながら頻繁に打ち合わせを行ったことが思い出に残っております。
沢山のご協力に心より感謝申し上げます。
kintoneは情報が集まれば集まるほど、沢山の人が使えば使うほど効果を発揮するツールです。
今後も、MOL様社内での効果をより高めていくお手伝いができればと考えております。

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