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kintone+連携サービスで訪問理美容の管理をシステム化
クオリカの伴走型開発が奏功しFC展開も視野に

共通ソリューション

介護事業 株式会社SOYOKAZE様

掲載日:2025年05月22日

導入ポイント

  • 課題
    ●訪問理美容のお客様のカルテを紙に記録しており情報共有ができない
    ●派遣する理美容師の予約・実績管理を一つのシステムに集約したい
  • 選定
    ●ノーコードツールのkintoneであればシステムの構築・運用が容易
    ●顧客に寄り添って“伴走型”で開発するクオリカへの厚い信頼感
  • 効果
    ●カルテの情報共有がスマホで実現し、予約・実績管理も集約可能に
    ●ノーコードのkintoneの利点を活かし、ユーザー自らアプリも作成

課題

訪問理美容の紙ベースのカルテが共有できず
スケジュール・予約・日報管理のシステム化も急務

 株式会社SOYOKAZE(以下SOYOKAZE)は北海道から九州まで全国360カ所以上の高齢者介護施設を運営する他、介護保険に頼らない新たな事業も展開しています。その一つが介護を必要とする高齢者などの自宅や高齢者介護施設に理美容師を派遣し、カットやパーマ、ヘアカラーなど美容施術を提供する訪問理美容サービスです。
 展開を広げる中、課題だったのが同サービスのお客様カルテが紙ベースで管理されていたことです。理美容師は十数名が所属し、二人一組の4~5チームが施設や自宅など一日数カ所を回ってサービスを提供するのが基本です。ただし、メンバーは固定化されていないため、リピートするお客様に同じ理美容師が訪問するとは限りません。
 そのため、大切な情報となるのが、お客様が前回どれだけカットし、どのヘアカラー剤を使ったかなどを記したカルテです。しかし、チームごとに紙ベースで保管されていたことから、情報共有が不十分だったのが実態でした。「前回のカルテを確認できないまま訪問し、お客様の希望通りのカットやカラーが行えず、ご指摘をいただくこともあった」と、事業の本部担当者だった未来ビジネス開発部主任の伊丹文氏は当時を振り返ります。
 一方、いつどの施設をどの理美容師が担当するかといったスケジュールはGoogleカレンダー、訪問理美容サービスをSOYOKAZE以外の施設に提供するための営業記録の日報、理美容師の日報はExcelで管理するなどツールが不統一だったことも課題でした。「一つのツールに集約し、簡単に情報を把握できるようにすることが喫緊の課題でした。そこで、問題解決に向け、システム化を図るプロジェクトが始動したのです」(伊丹氏)。


 

選定

kintoneのシステム構築を外部ベンダーに託す
「寄り添う姿勢」に好感し、クオリカを選定

 システム化を図るに当たり導入を検討したツールが、サイボウズが提供する業務アプリ構築のクラウドサービスkintone(キントーン)です。SOYOKAZEの関連会社で既に導入実績があり、ノーコードでシステムを構築できる点に優位性を見出したからです。訪問理美容の複雑な業務をシステム化する支援先として、サイボウズから紹介を受けたクオリカを含む他数社の外部ベンダーでコンペを行いました。そのコンペについて、伊丹氏はこう話します。「ベンダーは各社各様で、中には、要件定義の大枠はご自身たちで作ってほしいという内容や、複雑な業務のため一部、我々がJavaスクリプトでコードを書く必要があるという提案も。ただ、私も含めて自社のプロジェクト担当メンバーにはITの知識がほとんどなく、そうした提案は技術面、予算面で実現が困難でした」。
 そんな中、全く違う提案を行ったのがクオリカです。まず、Javaスクリプトでコードを書く必要はなく、ノーコードの連携サービスで拡張すれば、システム化は可能であるという提案があり、担当メンバーの中で注目度が高まりました。技術者がコードを書けば予算オーバーになり、運用時に自分たちが触ることができなくなります。その点、ノーコードの連携サービスであれば、後々、自らの手で業務アプリのメンテナンスや拡張も容易に行うことができます。
 さらに、決定打となったのが、「自分たちに目線を合わせて丁寧に対応してくれたこと」だと言います。「理解しづらい場合は、図解などを活用してより分かりやすくしたり、難解なIT用語を“意訳”して話したりするなど、終始私たちが理解できるよう合わせてくれました」(伊丹氏)。そうしたクライアントに寄り添う姿勢に好感したことから、最終的にクオリカをベンダーとして選定したのです。


 
(右から)
株式会社SOYOKAZE
未来ビジネス開発部 課長 近藤海 氏
未来ビジネス開発部 主任 伊丹文 氏

導入と成果

「一緒に作り」クライアントのスキルアップへ
情報共有が顕著に改善し、顧客満足度が向上

 そして、システム構築のフェーズになり、同社はクオリカの真骨頂を実感することになります。特に、これこそがクオリカの強みだと感じたのが、クライアントの理解を得ながら開発を進めていく“伴走型”のアプローチでした。「開発中は常に『一緒に作っていきましょう』と言われ続けてきました。それは言葉だけでなく、実際の行動でも体現されました。例えば、週に一度の進捗報告では、単に構築した機能を挙げるだけでなく、その機能をシステムに実装するための操作手順やロジックを一つひとつ丁寧に説明してくれました」(伊丹氏)。
 この説明を行う意味は大きいと言えます。ユーザー自身が運用段階でメンテナンスをしたり、新しく業務アプリを作ったりしようと思った際に、そこで得た知識が役立つからです。「ノーコードでシステム構築する際は、機能を作るプロセスをしっかり説明し、クライアントのスキルアップを図ることが大切」とクオリカは考えています。
 さらに、クオリカが真価を発揮したのが、kintoneの設定と連携サービスの活用です。kintoneではカルテ情報や施設マスタ、美容師マスタなど各種マスタアプリの他、理美容師のシフト表、予約・実績のアプリを構成。加えて、トヨクモ社が提供する連携サービスであるFormBridgeを連携させて介護施設スタッフがカルテ登録や施設予約登録ができる入力フォームアプリを構築しました。同じくトヨクモ社が提供するkViewerを連携させ、理美容師がスマホでシフトや予約状況、カルテ情報を確認できる機能も実装しています。
 また、アプリ上にボタンを配置するなど画面のカスタマイズには、gusuku Customineという開発支援ツールを使って必要なJavaスクリプトを自動的に記述する仕組みも導入しています。こうして的確に連携サービスを配置し、クライアントの「求める機能」を実現していったのです。
 結果、システム導入後は様々な業務で効率化が実現しています。特に顕著に改善されたのが、情報共有です。「今では、理美容師の間では訪問前にお客様のカルテをスマホで確認することが日課となっています。お客様の身体状況や前回のスタイル、ヘアカラー剤などの情報を把握してから施術が行えるため、サービスの質が向上し、顧客満足度を高められたことは大きな成果だと考えています」(伊丹氏)。

 

「訪問理美容サービス」の全体構成

今後の展開

培ったスキルを活かし、業務アプリを自ら作成
FC展開での事業拡大でクオリカの貢献に期待

 一方、「一緒に作る」というクオリカの方針でクライアントがスキルアップしたことによる効果も現れています。それは、伊丹氏をはじめとする社員が、必要と考えた業務アプリを自ら作るようになった点です。例えば、同社の営業社員や理美容師が業務終了後に作成する日報を、スマホで入力できる業務アプリがその一例です。このアプリは活用が定着し、タイムリーな情報共有が可能になっています。同社では、今後も必要な業務アプリを自主的に作っていくことによって、さらなる業務効率化を図っていこうとしています。
 そして、訪問理美容ビジネスの拡大に向けて、次の一手も検討しています。事業責任者の未来ビジネス開発部課長の近藤海氏は次のように話します。「構想しているのが訪問理美容サービスのフランチャイズ(FC)展開です。FC事業では、私たちが現在活用しているシステムも横展開していく計画です」。将来構想が膨らむ中、「クオリカには『寄り添う姿勢』によって、今後も事業拡大に貢献してほしい」と、近藤氏は期待を寄せています。


導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
株式会社SOYOKAZE
所在地
東京都港区北青山2-7-13 プラセオ青山ビル
設立
1975年6月
資本金
1億円(2024年3月31日現在)
事業内容
介護事業を中心に複数の事業を展開。介護施設は北海道から九州まで360カ所以上を運営し、ショートステイでは日本最大の施設数を誇る。従業員数は1万1598名(臨時職員・契約職員・嘱託職員・パート職員などを含む、2024年3月31日現在)。

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