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PITT Qubeでパーツ情報やマニュアルを国内外で共有
アフターサービスで海外が高評価し、業務短縮も実現

製造業

製造業 株式会社松浦機械製作所様

掲載日:2022年09月30日

導入ポイント

  • 課題
    ●工作機械の図面や部品情報、営業・サービス情報が点在し、統合が急務
    ●従来使っていた図面・部品閲覧ツールのアップグレードを図りたい
  • 選定
    ●マルチブラウザ・マルチデバイス対応で様々な環境で活用できること
    ●各種情報の統合に加え、検索性など個別のカスタマイズも可能なこと
  • 効果
    ●現場とPITT Qubeを見ながら意思疎通し、業務が3分の1に短縮
    ●細かい権限設定で情報の出し分けを実現。アフターサービスも進化へ

課題

工作機械はアフターサービスも製品価値の一部
図面や部品、マニュアルデータの統合が不可欠

 松浦機械製作所は、金属を切削加工し、産業用の部品を自動的に製造するマシニングセンタを主力製品とする工作機械メーカーです。高速加工、多面パレット自動運転、焼結(金属同士の結合)と切削を同時に行えるハイブリッド金属3Dプリンタなど、独創的な機械を次々と市場に送り出すパイオニアで、その技術や品質が世界に認められ、輸出比率が70%に上るグローバル企業でもあります。海外では欧米を中心にビジネスを広げ、ジョブショップと呼ばれる中小の金属加工業者が主な取引先です。
 そうした中、重要視してきたのが、アフターサービスです。同社取締役執行役員の松浦悠人氏は次のように話します。「工作機械はいくら性能が良くても、故障などのトラブルで即時対応できなければユーザーから選ばれないのがビジネスの特徴。そのため、バックアップ体制も製品の評価に含まれる価値であり、当社もアフターサービスの土台の強化を常に心がけてきています」。
 ただ、課題となっていたのが、アフターサービスで対処する際に、重要な情報となる図面や部品のデータが、ばらばらのデータベース(DB)で管理され、点在してしまっていたことです。本社や子会社、代理店の担当者は、取引先の工作機械を調べる時、複数のDBにアクセスして情報を得なければならず、非効率な点が問題でした。
 また、同社品質本部では、クオリカが提供する部品やマニュアルのデジタル閲覧ツール「CSS-Net」を導入していましたが、ブラウザはInternet Explore(IE)、デバイスはPCからしかアクセスできず、社内外で改善の要望が寄せられていました。同社はこの2つの課題を解決するため、新たなツールの検討を模索したのです。

5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-52V」

選定

海外関係者にも対応可能なPITT Qubeの導入へ
PDFのビューワー機能や検索性向上も決め手に

 同社がクオリカに相談をしたところ、提案されたのがCSS-Netの後継に当たる次世代型WEBパーツカタログ「PITT Qube」の導入です。PITT Qubeはパーツカタログ、技術資料、マニュアルのデータなどを配信するクラウド型システムで、マルチブラウザ・マルチデバイス対応が特徴の一つ。実は、海外の関係者の間では、使用するブラウザはGoogle Chrome、デバイスはタブレットであることが多く、これは図面や部品の情報を共有するのに不可欠な要素でした。「特に、工場の現場ではタブレットを使うことが基本で、CSS-Netの時は、ユーザーはわざわざ事務所に戻ってPCを操作しないと確認できない煩わしさがありました。PITT Qubeになればこの問題が解消され、リードタイムの短縮につながると考えました」と、品質本部品質保証チーフの齊藤一生氏は言います。
 そして、もう一つ重要な点が、既存のDBを使ってきた社内の従業員に利点を説明し、支持を得ることです。今回は、社内にある様々なDBを統合することになり、そこには営業部門が使っている製品マニュアルやサービス部門の情報も含まれます。「そこで、従来のDBでは、PDFを見るためにダウンロードが必要であり、大量のページ数の場合、時間がかかる点がネックでしたが、PITT QubeはPDFのビューワー機能があり、即座に確認できる点をアピール。さらに、検索の絞り込みなども簡単かつ的確になる見込みであることを訴求しました。こうした利便性の向上を事前に共有することで、社内でもPITT Qubeへの期待が高まり、導入への機運を醸成することができたのです」(松浦氏)。

株式会社松浦機械製作所
(左から2人目) 経営企画室 企画システムグループ チーフ 宮崎紀幸 氏
(左から3人目) 取締役 執行役員 松浦悠人 氏
(左から4人目) 品質本部 品質保証 チーフ 齊藤一生 氏

導入と成果

PITT Qube稼働でアクセス数は従来の3~4割増
意思疎通の円滑化で初動業務が3分の1に短縮

 システムの導入に際しては、社内の営業部門やサービス部門、さらには海外子会社や代理店など、幅広いユーザーの利用が想定されるため、各ユーザーに配慮をした個別の様々な修正が必要となりました。その一つひとつをクリアするために光ったのが、クオリカのカスタマイズ力です。例えば、海外関係者からの要望を取り入れ、パーツカタログとマニュアルはタブの切り替えをせずに一度に検索ができるようにしたり、検索で使うキーワードに対してヒットする図面や部品、マニュアルの種類を調整したりするなど、その範囲は多岐にわたっています。「特に、検索性に関しては、我々と一緒に頭を悩ましながら最後まで改善に取り組んでいただけました。その真摯な姿勢と技術力は非常に頼りになるものでした」と、プロジェクトに携わった経営企画室企画システムグループチーフの宮崎紀幸氏は振り返ります。
 こうして数々の壁を乗り越えて導入されたPITT Qubeですが、稼働後は予想以上の評価だったと松浦氏は話します。「新しいシステムにして、最初はどうなるかと気を揉んでいましたが、特に海外の子会社や代理店の評判が非常に良く、中には半期に一度の報告資料の中で、PITT Qubeについて“Very Good(非常に良い)”とわざわざ書いてきてくれる会社もあったほどです」。アクセス数もCSS-Netの時に比べて3~4割も増え、「単純に言って、すごく使ってもらえている印象があります」と、齊藤氏も満足しています。 
 実際の故障時のアフターサービスの場面でも効果を発揮しています。以前は現地の担当者が紙の資料に故障個所を記し、それをスキャンしてメール添付で送付してくるのが定番。「それを見ても何の機械のどこが故障し、どんな部品が必要なのか判別できず、その後に半日がかりでやり取りしてようやく意思疎通ができるのが実態でした。その点、PITT Qubeであれば、同じ図面、部品データを見ながら、電話やメールで話ができ、一瞬で事態を共有できます。そうした初動だけでも、業務が3分の1以上短縮できています」(齊藤氏)。

今後の展開

権限設定を活用し、安全保障貿易管理に対応
PITT Qubeでアフターサービスの進化を目指す

 一方で、海外に工作機械を輸出する同社ならではの課題を解決する機能もあります。資料を閲覧できるユーザーを限定する「権限設定機能」です。「輸出国によっては、軍事利用を避けるために見せてはいけない情報があり、機械の精度情報、修理情報などがそれに当たります。その権限を細かく設定するのに非常に重宝しています」(松浦氏)。工作機械を導入した取引先から、「保守部品の情報を見たい」「部品リストが欲しい」とリクエストがあった場合も、該当する資料の閲覧権限があるアカウントを送付して対応しており、「これは予期しなかった使い方で、顧客満足度の向上に寄与しています」(松浦氏)。
 今後は、こうした使い方に加えて、同社の発注システムと連携させ、PITT Qubeで部品を選ぶだけで注文が済むような仕組みも検討しているそうです。松浦氏はそんなアプローチも含めて、こう期待を寄せます。「当社の工作機械は“長寿命”を売りにしており、ビジネスが拡大すればするほど、アフターサービスの重要度が増していく構図です。そうした中、携わるサービスマンの省力化、効率化は死活問題となります。PITT Qubeによってそれを実現し、アフターサービスの進化につなげられればと考えています」。


導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
株式会社松浦機械製作所
所在地
福井県福井市東森田4丁目201番地
創業
1935年8月1日
資本金
9,000万円
事業内容
工作機械(マシニングセンタ)を製造、販売。創業以来、多くの新技術を開発・商品化し、高速加工や5軸加工機、金属3Dプリンタなどで業界トップクラス。売上高130億6,000万円(2021年度)、従業員数400名(2021年12月末時点)。

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