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大手素材メーカーに短納期でシステムを導入
AWSへのリホストとデータ分析基盤の標準化を実現

製造業

AGC株式会社様

掲載日:2020年02月15日

導入ポイント

  • 課題
    ●複数のBIツールが社内で混在しており一元化されていない
    ●システムを現行データセンターからAWSに移行する必要がある
  • 選定ポイント
    ●データ統合のTalend、BIツールのTableauの導入実績と技術が豊富
    ●決められた期限内、予算内で着実にミートできる体制を整えている
  • 効果
    ●システムのブラックボックス化が解消され、データの一元管理を実現
    ●導入部門においてTableauを使って高度な分析を行うユーザーが増加

課題

社内標準で推奨されるBIツール以外のツールも混在
全社で進めるAWSリホストも期限内に行う必要がある

 AGCはガラスや化学品、電子部材、セラミックスなど、様々な領域の事業をグローバルに展開する大手素材メーカーです。2015年から全社標準BIツールとしてTableauの展開を進めており、情報システム部門がその取り組みを牽引しています。
 AGCの情報システム部門では独自の教育カリキュラムや社内コミュニティの組成などの取り組みを通じて、社内のデータドリブンカルチャー醸成に挑戦し続けています。これらの取り組みが功を奏して、直近2年は毎年100%超増のペースでTableau利用ユーザーを拡大してきています。
 その一方で、既に他のBIツールを利用中の部門の中には、既存ツールでこれまでに作成したレポートの蓄積もあり、標準として推奨するTableauへの移行が進んでいない部門もありました。またそのBIツールにデータを渡すために数十年前に構築された独自のETLツールを併用している部門もあり、「BIツールの標準化を行うのであれば、ETLの切替も同時に」検討することが求められていました。
 加えて、全社方針として掲げられたのが、コスト圧縮とデータや人員の増加に合わせたスケールアップを行い易くするため、データセンターからAWSのパブリッククラウドに移行すること。各システムに対して移行のデッドラインが引かれAWSリホストが不可避な状況でした。
 「データセンターを脱却してAWSに移行」し、「全社標準のBIツールに切り替える」と同時に、「ブラックボックス化したETLツールを解明して再構築」するという3つの課題を即座に進めることが求められたのです。

世界最大手のガラスメーカー
その他、化学品、電子部材、セラミックスなど 多分野を扱う

解決策

短期間かつ予算内で構築できるSI会社はあるのか?
クオリカの先手とクイックレスポンスが遅延を防ぐ

 AGC情報システム部マネージャーの田中丈二氏は、当時の意思決定についてこう話します。「期限設定されたAWSリホストが最優先事項。既存ツールをそのままリホストする選択肢もあった」しかし”易きになじまず難きにつく”を創業精神とするAGCにおいてその安易な選択をしてもよいのか?「AWSリホストと並行して、この機会にどうにかBI・ETLの標準化もやり切りたかった」。
 問題は、この目標を半年という短期間で、予算内で行えるSI会社の選定。早急に業者を探す必要に迫られる中、コンペの結果、田中氏が選んだのがクオリカでした。「AWSへの引っ越しの期限が決まっている。予算も潤沢にあるわけではなく限られている。そうした条件に着実にミートできる提案をしてきたのがクオリカ。特に当社にTalendを大規模に組んだ経験がない中、適切な実績と技術を持っていることが選定の鍵となったのです」。
 納期が最重要テーマになる中、クオリカが先手を打って取り組んだのが、ブラックボックス化していた旧システムの“蓋”を開けることです。中身を緻密に調査して仕様書、設計書に書かれていない部分を洗い出し、追加で必要な作業を正確に見積もって実施。結果、システム構築を遅滞なく進めることができたのです。もう一つ、田中氏が評価したのがクイックレスポンス。「トラブルが起きても影響が出る前にすぐに収めたことが納期順守のポイントになりました」。

AGC株式会社 情報システム部 経財・資物グループマネージャー 田中丈二 氏

効果

データへのアクセシビリティ、スピード、操作性が向上
Tableauによる高度な分析レポートを現場責任者が活用

 今回のシステム導入プロジェクトで、田中氏が重要視したのが、ユーザーが変更によるメリットを体感できることです。「コストを掛けてシステムを変えても、ユーザー目線で良くなったことがわかりにくければ意味がない。目に見えて実感できることが大切」。その点で言えば、一つは旧システムよりデータへのアクセシビリティやスピード、操作性が向上したことが改善点です。
 加えて、Tableauを使うことによって、今までにないデータ分析が可能になったことが挙げられます。「Tableauは非常にユーザーフレンドリーなツールで、高度な分析レポートが簡単に作成でき、スピーディーに試行錯誤が可能。ビジネスの正解が分かりづらく、定型的なレポートだけを眺めていても答えが出ない中、軸や見方を容易に変えることで、ヒントとなる示唆を得られる強力なツールです。ツールが標準化されれば、全社展開している教育プログラムや社内分析事例の横展開も可能になる」(田中氏)。
 実際、システム稼働から2カ月で、工場などの現場の責任者によって多数の分析レポートが作られるなど、Tableauへの関心は高く、早くも今回の導入部門ユーザーに活用されています。「今までは、主にクロス集計表を頼りに次の一手を考えていた責任者が、Tableauで作ったビジュアル化されたグラフで分析を試みることができるようになり、よりイメージやヒントが沸きやすくなったことは確かだと思います」(田中氏)。分析期間のスパンも、以前は先月のデータを見る程度に留まっていたようですが、Tableauによって長期間の支出データや在庫データの推移グラフを簡単に作成可能になり、1~3年分の分析レポートを作成するユーザーも見られるようになったそうです。こうしたデータの可視化がビジネスの改善につながることは大いに期待できると言えるでしょう。
 一方ETLについては、再構築をすることで、データの再取り込みが可能になったことが利点。従来、取り込んだデータは入れ直しができず、一つひとつ手作業で修正する必要がありました。現在はミスがあれば再取り込みすれば済み、IT部門の負担が減ったこともポイントです。

今後の展開

ユーザーをトレーニングしてデータの可視化を推進
プロジェクトの詰まりを防ぐクオリカの体制を評価

 今後は、田中氏を中心にTableauのトレーニングを現場のユーザーに行っていく計画です。「現在は各種業務システムから集めたデータの分析が中心ですが、社内データに社外データをクロスさせてビジュアル化したり、目で見てイメージしやすいロケーションや体積・容積のデータも加味して倉庫スペースの空き具合を明示するなど、より高度な使い方も可能です。特に後者では、今まで現場に見に行かなければわからなかったことがデータで分かるようになり有用。そうしてシステムで可視化できることをどんどん増やしていくことが自分たちの役割だと考えています」。
 そして、最後にクオリカに対する評価に関して、田中氏は次のように話します。「クオリカは顧客の仕事のやり方に寄り添う会社。当社が決定に時間を要した場面でも、柔軟に計画を調整してくれたり未想定の追加タスクがあればそれを提案し、納期確保にむけて必要な人員補充も含め手当てをする。そうしたプロジェクト管理にも優れていると思います」。実績や知見、技術もさることながら、プロジェクトが詰まらないように、常にケアをする体制作りも、クオリカの強みと言えるでしょう。

導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
AGC株式会社
所在地
東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビルディング
設立
1907(明治40)年9月8日
資本金
90,873百万円
事業内容
世界最大手のガラスメーカー。
日本・アジア、欧州、米州の3極体制で30を超える国や地域で事業を展開。
フロートガラス(普通透明ガラス)、自動車ガラス、ステッパレンズ用石英素材、フッ素樹脂が世界シェア1位。
18年、社名を旭硝子からAGCに変更。

お問い合わせ先:MA第二事業部
TEL:03-5937-0750
FAX:03-5937-0802