サプライチェーンの見える化で、万が一のBCP(Business Continuity Plan)と日常の業務改善を両立

システム導入の背景

今回システムを導入されたコマツ郡山工場様の立地する東北地方は、2011年の東日本大震災で多くの企業が被災し、部品の供給不足が大きな問題として報道されました。

この中で、注目を集めたのが「サプライチェーンに着目した事業継続計画(BCP)」です。従来のBCPでは、情報・通信システムバックアップや業務フローの継続に主眼をおいたルールの作成が中心でした。しかし、今回の震災により、BCPを作成する上で、サプライチェーンをいかに継続させるかが重要なポイントであることが浮き彫りとなったのです。

コマツ郡山工場様では、BCPにおいてサプライチェーンを継続することの重要さを2004年の新潟県中越地震から既に学んでおり、工場まで部品を供給する一次協力企業から三次協力企業までの緊急連絡網の作成が行われていました。
しかし、緊急連絡網は、平常時には使用しないため、情報の更新がなかなか行われず、いざというときに連絡がとれないという課題も抱えていました。
また、災害が起こった地域と協力企業との位置関係がビジュアルに把握出来ず、安否確認に時間がかかるケースがありました。

可視化の取組み

そこで、クオリカとコマツ郡山工場様は、上記の課題へ対応するため、共同で「一次協力企業から三次協力企業までの情報の可視化」に取り組みました。具体的には、従来EXCEL等で個別に管理していた協力企業の情報をデータベース化するとともに、地図上に協力企業の所在地を配置し、災害が発生した場合に、被災地周辺にどのような企業が存在しているかを一目でわかるようにしました。
また、地図上の所在だけでは、万が一対象の企業が被災した場合に、サプライチェーンにどのような影響が発生するかがわからないことから、各企業の製造する部品の情報も併せて表示させる工夫を行いました。この結果、具体的にどの製品のどの工程に影響が出るかが明らかとなり、重要な部品の不足が明らかとなった場合には同じ部品を製造できる企業との連携を速やかにとれる体制が整いました。

このシステムは、2012年5月6日に北関東で発生した竜巻で、試験導入中にも係わらず、早速効果を発揮しました。
「以前であれば、試験導入していた郡山工場に部品を供給しているすべての協力企業と連絡がつくまでに、半日かかっていたが、このときは1時間ですべての協力企業の無事を確認することができた。」とご担当のコマツ調達本部郡山調達部 部長 中村氏はその効果を語ります。
災害時には、混乱しやすい状況において、迅速・正確な事実把握が非常に重要となります。
「災害時に迅速に確認することで、対策を打てる時間が増え、サプライチェーンを途切れないようにすることができるからです。」(中村氏)

 

システムのポイント

緊急時の情報を日常でも利用することで、情報の陳腐化を防止

今回のシステムのポイントは、従来の課題であった「いかに最新の情報を保証するか」にありました。この点について、緊急時だけでなく、協力企業とのコミュニケーションツールとして平常時に使用することで、その都度、最新情報にアップデート可能となります。
また、単なる協力企業の地図表示だけでなく、「各協力企業の製造する部品の情報を併せて表示する」ことで、部品が作られ、郡山工場に納品されるまでの物流が見えることになり、物流ルートに無駄がないかの確認を行うことができ、実際に無駄の改善も進んでいるとのことです。
「BCPだけが目的になると情報更新業務の優先度は落ちてしまいがちだが、納品ルートの可視化・供給量の可視化によって業務改善ができるようになれば、情報更新業務を積極的に行うようになる。業務改善とともに情報は自然に最新化され、非常事態に従来とおりの効果を発揮できるようにしていきたい。」(コマツ調達本部調達企画部調達企画課 課長 山下氏)

現在ではこれらの成果を受けて、他調達部様でも導入が開始されています。

お客様の声

クオリカさんは当社の業務を習熟しているため、コミュニケーションがスムーズに進み、短期間で我々の要望を具現化してくれました。
今後もクオリカさんには更なるサポートを期待しています。

(左:調達本部調達企画部調達企画課 課長 山下氏、右:調達本部郡山調達部 部長 中村氏)

お客様のプロフィール

会社名
コマツ
http://www.komatsu.co.jp/
所在地
東京都港区
設立
1921年5月
資本金
67,870百万円(連結:米国会計基準による)
事業内容
建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械などの事業を展開。