製造業 株式会社タガミ・イーエクス様
日本屈指の建設機械と産業機械の製造技術を中国に展開
株式会社タガミ・イーエクスの創業は1965(昭和40)年。以来、産業機械、建設機械、環境機械および周辺装置を製造しています。大手建設機械メーカー、コマツの協力企業(みどり会)でもある同社は、「開発~設計~板金~機械加工~完成品ASSY~検査までの一貫生産システムで、ライン流しで量産対応の建設機械系と、1台からの受注生産対応の産業機械系の両方に精通しており、これは当社の強みの一つといえます。」と、同社 コマツ板金機械事業部 業務グループ 主任 中島洋輔 氏は紹介します。
主要取引先であるコマツが中国に進出をしていることもあり、以前よりタガミ・イーエクスも中国進出を考えていました。「ちょうど当社でも、高度な溶接技術や組立技術をグローバル展開したいと考えていたところ、中国国内に工場建設用地の準備があると聞き、2009年後半より積極的に中国進出について検討を開始しました。」と、同社 稲田宏和 氏は語ります。この稲田氏が、後に中国に設立された常州田上机械有限公司(中国江蘇省)の総経理(代表)に着任します。
2010年3月、中国当局からの営業許可を取得、翌2011年4月の操業開始に向けて、中国工場建設の本格的なスタートを切ることになったのです。
導入の背景
「人」と「期間」の課題をクラウドで解決
中国新工場建設決定後、その生産管理システムの導入を任された中島氏は「最初は日本で使用している既存システムを導入することも考えましたが、現実的に難しい点が多々出てきました。まず、中国新工場現地には、導入されたシステムを運用する専任の『人』がいません。そして最も重要であった新工場稼働開始までの『期間』。私たちに与えられた期間は非常に限られたものでした。」と語ります。
2010年夏、中島氏は問題点を整理し、それらを解決するソリューションを探し始めます。ところが、日本と中国の間の「言語の壁」、そして日本から運用する場合の「距離」など、次々と懸念点が出てきます。これらを重大な課題と認識した矢先に紹介されたのが、クラウド型の生産管理システム「AToMsQube(アトムズキューブ)」でした。
「AToMsQube」はクオリカがクラウド型とオンプレミス型の両方で提供する生産管理システムです。クラウド型の場合、サーバを自社で保有する必要がないため、自社によるシステム運用は必要なく、そのため導入初期費用や運用コストを大幅に削減可能。また、ヘルプデスクによるサポートは月額定額制に含まれているため、導入後の運用にかかる手間も大幅に削減することができます。短期間でシステムを導入でき、同社の2011年4月の中国新工場稼働に合わせたシステム導入にも充分対応することができました。
2010年8月にはクオリカの担当者に相談し、翌9月にクラウド型AToMsQubeの導入を決定。10月にシステム導入をスタート、12月末には導入が完了していました。中国工場稼働に合わせ、1月~3月は中国現地にてクオリカ社員によるマスターデータ整備やユーザ教育など、5月の本番稼働に向けたサポートが実施されました。
システムの特長と効果
中日英の多言語対応で製造業のグローバル化を支援
クラウド型生産管理システムを、特に中国で導入することについて当初不安があったと中島氏は振り返ります。まずは、インフラ。中国国内におけるインターネット回線の容量と速度、そして信頼性には大きな不安があったと言います。
そこでクオリカでは、これを今後の大きな課題と認識し調査を開始。検討を重ねた結果、中国に進出する日系企業の不安を解決するため、中国国内にもクラウド用サーバを設置しました。また、レスポンスに影響するデータ通信を追跡・解析、それらの改善に努めると同時に回線品質の安定しているキャリアをユーザに推奨。こうしてお客様の不安と懸念を一つひとつ解決した結果、「当初心配されていた、レスポンスに関する問題が現地中国から報告されたことはありません。導入後は常に安定した環境でサービスを利用することができています」と、稲田氏は語ります。
そして、次に重要な導入サポート体制。「クラウド型を導入することにより、遠隔地にいてもサポートを受けることができる点に非常に魅力を感じましたが、言語の異なる中国でのサポートについては不安がありました。しかし、クオリカは中国の上海に子会社『クオリカ上海(高律科(上海)信息系統有限公司)』とサポート拠点があり安心しました。サポートは中国語と日本語の両方で受けることができるので大変助かっています。」と、稲田氏は評価します。
「AToMsQube」の多言語機能について中島氏は次のように語ります。「クラウド型なので、インターネットに繋がる環境であればAToMsQubeにログインするだけで、どこからでも中国工場の生産状況をリアルタイムに確認することができます。表示画面はユーザIDごとに日本語・中国語・英語から任意の言語を設定できます。グローバル展開を進める当社としては、大変便利でありがたい機能です。」
今後の展開
クラウドでも現地のオンサイト保守は不可欠
総経理 稲田宏和 氏
(右)株式会社タガミ・イーエクス
コマツ板金機械事業部
業務グループ
主任 中島洋輔 氏
中国進出を検討している企業に向けて「クラウドですべてを解決できると考えてはいけません」と、中島氏はアドバイスします。確かにクラウド型の生産管理システムを導入することで、システム導入コストの大幅削減・短期間での導入が可能です。稼働後の運用にかかる手間も大幅に軽減されます。しかし、グローバル展開を進める日系企業にとって、進出先でのサポートや定期的な訪問サービスは必要不可欠だと強調します。「この点、クオリカは中国国内にもヘルプデスクを設けており、毎月定期的に工場を訪問。中国語と日本語の両方でサポートをしてくれます。また、緊急時には迅速に対応をしてくれています。先日、中国新工場で初めて実施された棚卸の際には、2日前から工場に足を運び現場でサポートをしてくれました。帳票のレイアウト変更などは、その場ですぐに修正してくれます。」と、稲田氏も評価します。
クオリカは現地でのオンサイト保守を重視し、現地拠点を開設。中国人・日本人社員共に力を合わせ、中国でビジネスを展開する日本の製造業を強力に支援しています。
お客様のプロフィール
- 会社名
- 株式会社タガミ・イーエクス
http://www.tagamiex.co.jp/
- 導入先
- 常州田上机械有限公司(中国江蘇省)
- 所在地
- 石川県能美市粟生町西2-2
- 創業
- 1965年1月
- 資本金
- 6,200万円
- 事業内容
- 産業、建設、環境機械および周辺装置、プレスブレーキ金型の開発・設計・加工・組立・販売
サービス・ソリューション
お問い合わせ先:ITサービス事業本部 製造サービス事業部 製造サービス部
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