ホーム導入事例株式会社ファンケル

オムニチャネル戦略に向け、新POSシステム構築
タブレットを使った“待たせない接客”で体験を向上

流通・サービス業

化粧品・健康食品メーカー 株式会社ファンケル様

掲載日:2020年05月20日

導入ポイント

  • 課題
    ●改修コストや工数が増大した旧システムをリプレイスする必要がある
    ●POSシステムをタブレットで運用可能にし、接客の効率化を模索
  • 評価ポイント
    ●POS専用機を用いずハードウェアフリーでタブレット運用できること
    ●店舗展開や現場の操作教育、ヘルプデスクも丸ごと請け負えること
  • 効果
    ●タブレットによる事前精算など機動的な接客で顧客の購買体験が向上
    ●稼働後は改修コストと工期が大幅に削減され、経営の合理化に寄与

現状と課題

IT基盤を再構築する一大プロジェクト「FIT」が発動
POSシステムの刷新で改修と店頭接客の問題を解決

 通販と店舗、量販店等への卸売りで自社開発の化粧品やサプリメントなどを販売し、国内外でファンを増やして成長を続けている企業がファンケルです。しかし、2013年の時点では、改修を重ねてきた“つぎはぎ”のシステムが煩雑化し、改修のコストや工数、維持費用が増大。通常小売業のITコストは1%台と言われる中、4%台にも上り、抜本的な改革が必要な状況でした。そこで、2014年から取り組み始めたのがIT基盤を再構築する一大プロジェクト「FIT(ファンケル・インフォメーション・テクノロジー)」です。第1弾の「FIT1」では、まず、基幹システムと通販システムを、従来の半分以下の費用で再構築し、運用面も含めてITコストの大幅な削減につなげました。
 その成功を受け、通販(電話窓口など)、ウェブサイト、店舗の顧客情報を一元化し、あらゆる接点で最適な購買体験を提供する“オムニチャネル戦略”を行うためにスタートしたのが、第2弾の「FIT2」です。その中の要素の1つがPOSシステムのリプレイス。課題は改修のリードタイムの短縮、コスト削減に加え、店舗での満足度の高い接客や業務効率化が可能なシステムに刷新すること。当時の旧システムの延長ではそれらの課題解決は困難で、新しいPOSシステムと体制の構築が急務でした。「特に、重要視したのは通販システムとの連携。従来は目の前の顧客が通販でどんな買い物をしているかを把握できず、通販の割引キャンペーンやクーポンが店では使えないなど、最適な購買体験を提供するには問題が多いのが実態でした」と、ファンケル情報システム部の太田博之氏は話します。

評価

ファンケルが提示したRFPを網羅するクオリカを選定
特殊な売り方やAPI連携にも高度な技術力で柔軟対応

 そこで、ファンケルでは新しい店舗POSシステムの導入に向け、複数のベンダーにRFP(提案依頼書)を提示し、7社によるコンペを実施。厳密な選定作業の上で白羽の矢を立てたベンダーがクオリカです。「クオリカが提供するパッケージソフト『SpecialtyQube』をベースにしたシステムは開発コストが今までの半分。構成もシンプルで稼働後の機能追加が容易なことも評価ポイントでした。POS機能をハードウェアフリーで、どのようなタブレットでも実装できることや、各店の端末側に一定の顧客情報を保存でき、ネットワークが接続不可になっても顧客対応を継続できることなど、私たちの細かい要望に対応できる点にも好感。そうしてRFPを網羅できる総合力を心強く思ったことが選定の理由です」(太田氏)。
 さらに、高く評価され、選定を後押ししたのが、ファンケル側の特殊事情にも対応できる柔軟性です。例えば、同社が幅広いラインナップの化粧品やサプリメントを展開する中、最安値で購入できる商品の組み合わせを瞬時に計算し、タブレットを含めた端末側で表示する機能。パッケージでありながらもそうした独自の売り方に合わせたアドオンが可能な点は、他社と差別化できるクオリカならではの優位点です。加えて、他社が開発した通販システムとのAPI連携に関しても、スムーズに実現させる技術力を持っていることも、ファンケル側にとっては安心材料。こうして、様々な利点を持つクオリカによって、ファンケルの成長に寄与する次世代の新POSシステムの開発は進められることになったのです。


左から
株式会社ファンケル グループITセンター情報システム部事業サポートグループ 太田博之 氏
株式会社ファンケル グループITセンター情報システム部コーポレートシステムグループ 山梨由雅 氏

導入プロセス

構築から展開、教育まで丸ごと請け負える総合力が強み
POSを実装したタブレットを接客の効率化にフル活用

 開発フェーズでは、要件定義や設計検討、レビューにて実際に使用する現場スタッフに合意を得ながら進めるなど、丁寧かつ高品質な開発を推進。複雑性、冗長性を避け、最低限のインターフェースで簡単かつ直観的に操作できるようにし、ロジックの共通化を行うなど、シンプルな構造になるように設計・構築したことも効果的でした。納期変更が許されない中、当初計画通りに遂行したことも注目すべき点です。
 また、システム構築だけでなく、POS端末やタブレットなど機器の「展開」、現場スタッフの「教育」も一体となって丸ごと請け負える点がクオリカの強み。「当初からクオリカ側にヘルプデスクが設置され、開発や展開、教育の各フェーズで問題やトラブルが発生した時に相談でき、即応してもらえる体制が整っていたことで、安心してプロセスを進めることができました」と、太田氏と共にプロジェクトの責任者を務めた情報システム部の山梨由雅氏は言います。
 教育に関しては、ファンケルの現場の業務に合わせた操作マニュアルをいち早く作成。「システム構築後は、国内店舗の全スタッフを全国12会場で教育し、教育が終了してスタッフの習熟度が高い状態になった店舗から順次、機器を導入。この効率的なアプローチによって、スムーズなリプレイスが実現したのです」(山梨氏)。短納期で同時展開店舗数が1日最大30店舗と非常に多かったにも拘わらず当初計画通り完遂できたのは、クオリカが整えた万全の体制があったからと言えるでしょう。
 導入後は、セールでレジに行列ができた時、POSソフトをインストールしたタブレットを持ったスタッフが事前に精算処理を済ませ、タブレットを使ってカウンセリングを行い、画面上で商品を決めて後はレジで支払うだけにするなど、できる限りお客様を“待たせない”接客が実現。一元化された顧客情報をタブレットで表示できるため、目の前の顧客に関する通販と店舗での購入履歴が把握でき、商品の推奨に役立てることも可能になっています。

今後の展開

狭小なミニ店舗でもPOS実装のタブレットで情報管理
定期的なウェブ会議でコスト減と円滑な意思疎通を両立

 顧客情報の一元化によって、どの会員に何の割引クーポンをウェブ上やDMで配布しているかも、店舗の端末で把握できるようになっています。顧客がクーポンを持参していない場合でも、配布済みであることをタブレットで確認し、精算で使えることを案内するなど、購買体験を高める接客に活用しています。一方で、POS機能をタブレットに実装したことで、観光スポットやショッピングモールの一角などにスポットで設置したミニ店舗でも、携行したタブレットで販売情報を管理しながら購買できるようになっています。
 また、従来はベンダーのエンジニアが常駐し、高コスト体質の一因になっていた保守運用体制も、非常駐に変更。代わりにネットを介したウェブ会議を定期的に行い、情報システム部とクオリカ側の意思疎通を図っています。「ウェブ会議によって、コスト減と円滑なコミュニケーションが両立。追加案件の要件のヒアリングなどにも役立ててもらっています」(太田氏)。今後は、顧客の通販サイト上での行動履歴も確認しながら、よりパーソナライズされた効果的な店舗での接客を実現していく予定です。


導入を担当したクオリカ社員と一緒に

お客様のプロフィール

会社名
株式会社ファンケル
https://www.fancl.jp
所在地
横浜市中区山下町89-1
設立
1981/8/18
資本金
10,795百万円
事業内容
無添加にこだわった化粧品や高品質・低価格のサプリメントの研究開発、製造、通信・店舗販売を展開。IT化やオムニチャネル戦略を積極的に推進し、業績は好調に推移。

お問い合わせ先:サービスクリエーション事業部小売ビジネス部
TEL:03-5937-0760
FAX:03-5937-0803