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クオリカ、鋳造シミュレーションシステム「JSCAST」をバージョンアップ
~ 介在物(のろ・砂かみ)欠陥予測を開発 ~

2011年04月11日

報道関係各位
クオリカ株式会社

 ITホールディングスグループのクオリカ株式会社 (本社:東京都江東区、代表取締役社長:西田光志)は、鋳造シミュレーションシステム「JSCAST」(ジェイエスキャスト)の新バージョンをリリースいたします。新バージョンでは、オリジナルの新機能として「のろ・砂かみ予測」、「溶湯の表面張力を考慮した湯流れ解析」の開発および、現機能の拡張を実施しました。
 クオリカは、JSCAST Ver.10を国内外の自動車・建設機械・造船・家電部品などの鋳造・ダイカスト関連製造企業をターゲットに初年度100ライセンスの販売を目指します。

 JSCASTは各種鋳造プロセスにおいて溶けた金属の湯流れ凝固と鋳造変形のシミュレーションをするためのパッケージソフトです。鋳型内部を溶湯がどの様に流れ、充填していくかを可視化でき、充填完了後の凝固過程や変形もシミュレーションできます。販売開始から25年間で、日本国内、中国、東南アジアで自動車メーカーを始めとする鋳造関連企業などへ多くの販売実績があります。

【 JSCAST Ver.10の新機能紹介 】
 JSCAST Ver.10では、下図の新機能の追加に加え現行バージョンの機能改善や、新OS「Windows7」への対応など多くのシステム改善を実施いたしました。
 特に新機能では、溶湯の表面張力考慮、のろ・砂かみ予測などユーザから要望の多かった鋳造欠陥の予測検討が可能となりました。

 図.JSCAST Ver.10の新機能

図.JSCAST Ver.10の新機能


1)標準機能(基本モジュール)
①堰(ゲート)別流入表示(流速分布考慮) ※ 添付資料 図1
 堰(ゲート)からの溶湯流入状態を色分けして表示します。色分け表示された結果から、堰(ゲート)設定の妥当性が評価可能です。
 より現実に合うようにアルゴリズムを変更いたしました。

 
②高粘性流体への対応(湯流れ解析) ※ 添付資料 図2
 溶湯温度が低くなると粘性が高くなり流動性が悪くなります。このような状態でもより安定した解析が可能となりました。

 
③再溶融への対応 ※ 添付資料 図3
 固液共存域での温度回復のアルゴリズムを改良したことにより、再溶融する場合などの温度計算の精度が向上しました。

 
④解枠の考慮 ※ 添付資料 図4
 大型鋳物の場合、凝固途中で砂型を解枠することによって凝固時間を短縮させる場合があります。また、鋳物中心部の硬度を制御するため、凝固途中で解枠することもあります。本機能はこのような解枠対応を可能にしました。

 
⑤鋳造プロセス別GUI(Graphical User Interface)  ※ 添付資料 図5
 鋳造プロセス別GUIにより鋳造プロセス毎のメニュー構成に変更しました。専門用語の一部も鋳造プロセス毎に対応しました。

 
2)オプション機能
①表面張力の考慮 ※ 図A
 湯流れに及ぼす表面張力および鋳型と溶湯のぬれ性を考慮するものです。表面張力の影響が大きい場合、自由表面の形状や位置の推定精度が向上し、より現実的な流動に近づきます。

 
②のろ・砂かみ予測 ※ 図B
 のろ、砂かみ欠陥の原因であるのろと砂をマーカで表現します。のろ、砂かみの発生条件を満たした際にマーカを発生させ、その挙動を追跡する機能です。発生条件を適切に設定することにより、鋳型破損による砂が溶湯中に巻き込まれる現象を解析できます。

 下図はVer.10のオプション機能の計算結果例です。

 ①表面張力の考慮 ※ 図A

図A.表面張力の考慮の計算結果例

図B.のろ、砂かみ予測の計算結果例

図B.のろ、砂かみ予測の計算結果例


【今後について】
 クオリカは、今後もユーザの要望を反映し、さらに使い勝手がよく、高機能な機能を提供すべく、JSCASTを改良していきます。なお、今後、湯回り不良(部分流動停止)やポロシティ予測(凝固収縮考慮・酸化皮膜・ガス)※【添付資料 図6】、凝固過程による流動考慮(ダルシー流れ・対流)などの機能も順次提供していく予定です。

■「JSCAST」について
製品の詳細については http://www.jscast.jp/ をご参照ください。

 
■添付資料
 図1.各堰(ゲート)からの流入色分け表示
  堰(ゲート)毎の溶湯“濃度”計算を考慮したアルゴリズムに変更し、解析精度が向上しました。

 図1.各堰(ゲート)からの流入色分け表示

(a)Ver.9の結果                       (b)Ver.10の結果
ゲート別流入表示の改善例(ダイカスト)

 
 図2.高粘性流体の対応の計算結果例
  溶湯の温度が低下した場合、高粘性流体でも安定して計算できるようになりました。

 図2.高粘性流体の対応の計算結果例


 図3.再溶融への対応
  再溶融を考慮することにより固相率の変化を正しく計算することができるようになりました。 

 図3.再溶融への対応

   (a)変更前                             (b)変更後
固相率変化曲線

 
 図4.解枠の考慮
  砂型の解枠後に鋳物および、鋳型表面温度の低下が大きくなったことを示しています。

 図4.解枠の考慮

(a)解枠なし                         (b)解枠あり
解枠考慮の計算結果例(温度変化曲線)

 
 図5.鋳造プロセス別GUI(Graphical User Interface)
  鋳造プロセス毎のメニュー構成に変更することで操作性の向上を図りました。

 図5. (a)鋳造プロセスの設定

(a)鋳造プロセスの設定

 図5. (b)砂型鋳造の例

(b)砂型鋳造の例

 図5. (c)ダイカストの例

(c)ダイカストの例

  図6.ポロシティ予測の計算結果例
  凝固収縮に伴う液相の移動をダルシー流れとして解き、また溶湯中に巻き込まれたガスを核として引け巣の発生を予測します。

図6.ポロシティ予測の計算結果例


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