ホーム導入事例公益財団法人 全日本空手道連盟

独自の会員データ管理システムとVDIを併行導入

共通ソリューション

公益財団法人 全日本空手道連盟様

掲載日:2019年03月28日

導入ポイント

  • 課題
    ●JKFで一元的に会員情報管理ができず、業務に支障が出ていた
    ●東日本大震災を契機に大切な会員データを水没から守る必要性を痛感
  • 評価ポイント
    ●クオリカが持つ、スクラッチ開発やデータセンター運用の豊富な実績
    ●VDIから会員データ管理システムまでワンストップで任せられること
  • 効果
    ●Web上で会員の登録・決済が実現し、JKFでデータ管理の一元化に成功
    ●情報漏洩防止やPC管理の負担がなくなり、JKF・加盟団体等の負荷が低減

課題

将来有望なジュニア選手の情報が把握できない
災害でデータが水没するリスクも懸念事項に

 空手道は2020年開催の東京オリンピックで追加種目となり、今後競技人口の増加が予想されています。しかし、アマチュア空手道を統括する団体である全日本空手道連盟(JKF)は、登録する約9万人の会員データの管理面で課題を抱えていました。ひとつは、JKFが管理していたのは約3万人の「成年会員」データのみで、約6万人の「少年会員」データは、加盟団体である各都道府県の空手道連盟や競技団体がそれぞれで管理していたこと。「そのため、ジュニア強化に向けて、どの県にどんな有望な選手がいるのかをJKFが手元で直に把握できないのが実態でした」と、JKF総務課長の石川貴博氏は話します。成年会員に関しても登録は加盟団体等が窓口となり、JKFにFAXやメールで送られてきたデータを職員が再度入力するなど、手間と時間がかかり、入力ミスが起こりうる状況。会員の登録から会員証の発送までタイムラグがあり、JKFへのクレームも発生していました。
 さらなる課題が、団体のビルが建つ立地の問題です。すぐそばに運河があり、万が一、津波や高潮などで水没した場合、会員データが消失するリスクを懸念。合わせて、「会員情報の漏洩事故の防止」「JKFや加盟団体等で使用するPCの管理負荷の低減」「出張先や自宅からリモートアクセスし、会員情報を参照できるようにしたい」なども課題に。
 そこで、データを安全に効率良く管理するためのネットワークの構築と会員管理システムの開発を目指したのです。

第46回全日本大会個人戦優勝者

評価ポイント

VDIによって堅牢なデータセンターで情報を守る
システム専任者不在の団体のPCやデータの管理を代行

 JKFがシステムベンダーに選んだのは、大企業から中小の事業所・団体まで、個々の状況に合わせて幅広いスクラッチ開発の実績を持つクオリカ。顧客に代わってサーバーやネットワーク機器を運用するデータセンターの実績も豊富で、「ネットワーク構築からシステム開発まで、ワンストップで任せられる点が魅力でした」(石川氏)。
 まずクオリカが提案したのは、VDI (仮想デスクトップ環境)を実現する「Thin Office VDIサービス」の導入。ひと言でいえば、個々のPCのデスクトップ環境をクオリカのデータセンターに丸ごと預けるサービスで、ユーザーは毎回パスワードを入力し、ネットワーク経由でアクセスして使う仕組みです。データはPC側ではなく、堅牢なデータセンターのサーバーに保存され、紛失や盗難による情報漏洩のリスクを軽減。OSやソフトの更新、パッチ(修正プログラム)の配布はクオリカがサーバー側から各PCに一斉に行い、PC故障時はデータがサーバー側にあるため、復旧が容易なことも利点。「JKFは、高度な知識を持つシステム専任者が不在。OSやソフト、データの管理を一括して依頼できるVDIは、私たちのような中小規模の団体にとって非常に有用なサービス」と、石川氏は評価します。
 また、JKFが本格的なシステム導入が未経験であることを考慮し、①VDIと新しい会員データ管理システムの開発と導入、②インターネット公開、会員向けサイトの開発と導入、③頒布品・大会情報管理機能の追加導入の3つのフェーズに分けることを提案。JKF職員の負担を極力減らしながら、一歩ずつ着実に進めていったのです。

公益財団法人全日本空手道連盟 総務課課長 石川貴博 氏

効果

独自システムの開発で会員登録・決済をWeb化
情報の流れがJKFから加盟団体等へと逆転し、一元管理に成功

 一方、会員データ管理システムは、登録の仕組みを大幅に刷新。各会員がPCやスマートフォンでWebサイトにアクセスして、入力フォームに直接個々の情報を登録し、登録料もWeb上でクレジットカードやコンビニ決済を選択して支払えるシステムを開発し、導入したのです。従来は、加盟団体等ごとに会員の登録申し込みを受け付け、登録料を集めて、JKFに登録情報と共に郵送したり、振り込みをしたりするなど、非常に手間がかかっていました。加盟団体等の担当者の大半はボランティアであり、本業を抱えながらそうした事務手続きを行うのは、大きな負担でした。それが、新システムのスタートによって、加盟団体等の登録業務の負担は“実質ゼロなり、JKFでも成年会員から少年会員まで、全ての会員情報を迅速に把握できる体制が実現。今後のジュニア育成に効果を発揮すると同時に、手作業で登録情報と登録料を照合することなどが不要になり、経理業務の負荷も大幅に減少しています。
 各加盟団体等にはJKFの職員が使っているものと同様にVDIが設定されたノートPCを支給。加盟団体等の担当者がリモートアクセスし、地元の会員の登録情報を確認できる仕組みを取り入れています。加盟団体等から会員データを吸い上げていた従来とは逆に、JKFが情報を加盟団体等に提供する流れを実現。JKFが情報を管理する、本来あるべき情報管理体制の構築に成功しています。
 JKFの職員が外部からリモートアクセスし、会員情報を確認でき業務を行える点も、早速効果を上げています。「新幹線の移動中や海外出張先で、普段と同じデスクトップ環境で仕事ができる点は便利。大会の会場で出場選手が会員かどうかもその場で確認することができ、業務の円滑化に寄与。データを持ち出さずに、外出先でも安心して自由自在に使える点は重宝しています」(石川氏)。
 システムの導入過程では、JKFからの不安や疑問の問い合わせに対し、クオリカ担当者がすぐに答え、対応するなど、「手厚いサポートがあったこともポイント」と、石川氏は言います。

JKFの道場にて石川氏とクオリカ担当者

今後の展開

頒布品や大会情報の管理機能を追加するフェーズ3へ
省力化推進のため外部団体とのシステム連携も視野に

 今後は、会員情報管理に加えて、頒布品情報管理や大会情報管理のシステム構築を進める「フェーズ3」を推進していく計画です。この新機能の導入によって、審判員の制服や空手道形教範など頒布品の購入や管理、大会のエントリーと出場費のWeb決済、大会情報の管理や大会実績の登録、各会員向けの大会実績履歴表示などがWebサイト上で可能になり、JKF、加盟団体等、会員の利便性は飛躍的に向上します。さらに、公益財団法人日本スポーツ協会(旧日本体育協会)のシステムとの連携も視野に入れています。JKFの一部の資格で、公益財団法人日本スポーツ協会の指導員資格が必要条件となっており、データをリンクさせることで、作業の省力化を図ることが狙いです。
 JKFがシステム開発の必要性を痛感したきっかけは、東日本大震災。首都圏もいずれ震災に見舞われる可能性がある中、何よりも大切な会員データを万全の体制で守らなければならないという使命感に駆られ、プロジェクトに着手したのです。その後、利便性も大きく高める方向で開発が進行。今後もクオリカのシステムが、日本の空手道を強くし、発展させる一助になっていければと思います。

お客様のプロフィール

会社名
公益財団法人 全日本空手道連盟
https://www.jkf.ne.jp/
所在地
東京都江東区辰巳1-1-20 日本空手道会館
設立
1969年1月13日
事業内容
日本のアマチュア空手界を統括し、代表する団体として空手道の健全な発展と普及を図る。空手の日本一を決める「全日本空手道選手権大会」の開催、講習会の実施、指導者育成、公認段位の授与などを担う。

お問い合わせ先:MA第二事業部
TEL:03-5937-0750
FAX:03-5937-0802